エンタープライズソフトウェア企業のIFSは7月23日(現地時間)、2024年上半期の業績を発表した。年間経常収益(ARR)が前年同期比24%増の8億5000万ユーロ(約1405億円)、クラウド収益が前年同期比20%増と2桁成長を続けている。ソフトウェア収益は総収益の82%を占めた。

  • IFS上半期業績

    IFS上半期業績

同社は製造、航空宇宙・防衛、エネルギー、サービス産業、建設エンジニアリング、テレコム通信の6業種に特化し、統合基幹業務システム(ERP)と設備資産管理(EAM)、フィールドサービス管理(FSM)、サービスライフサイクル管理(SLM)の4領域の製品を1つのプラットフォームで提供している。

サービスの中核となるのが4領域の製品の機能をSaaS(Software as a Service)で提供する「IFS Cloud」。これは2021年3月に提供開始されたサービスで、顧客は自社に適している機能をベストオブブリードで組み合わせることができる。

2024年上半期において、Exelon、ThyssenKrupp、Molson Coors、Alcoa、Oreca Group、Bucher Emhartなどの企業がIFSを採用し、利用が拡大した。顧客企業は、IFS Cloud上で提供する産業用AI機能「IFS.ai」を活用し、全米数千万もの家庭にエネルギーを供給する資産を管理しているという。過去半年だけで、170以上の新規顧客企業を獲得し、数百の既存顧客がIFS Cloudを採用したという。平均で23.6%の生産性向上が確認され、合計で年間150億ドルのコスト削減を達成しているとのこと。

IFSは事業を成長させるため投資にも積極的だ。2024年6月には、AIを利用した資産管理ソフトウェアのプロバイダーであるCopperleafの買収を発表した。この買収は2024年第三四半期に完了する予定。

また、日本市場への展開も加速させている。7月10日に、国内ERPを手掛けるワークスアプリケーションズ(WAP)と、国内向けシステム供給に関して提携したことを発表。WAPとの提携で日本の商習慣を事業に取り込み、日本国内の製造業を中心に、基幹システム刷新のニーズに応えていく考えだ。

IFS 最高経営責任者(CEO)のマーク・モファット氏は「ARRは今後のビジネスの軌道を示すものであるため、24%の増加は非常にポジティブだ。現在行っている投資は、長期的な成功をもたらし、業界のリーダーとしてのIFSの地位を今後何年にもわたって確固たるものにする」とコメントしている。