ソフトバンクは7月18日、ANAホールディングス(ANAHD)子会社のavatarin(アバターイン)に出資し、人手不足の課題を抱えるさまざまな業界に特化したマルチモーダルAI(画像や音声などさまざまな形式のデータを扱えるAI)の構築を目指すと発表した。AIとロボット技術を活用したソリューションの開発を進め、空港やさまざまな場所などでAIとロボットを活用した顧客接点の増加を図る。
avatarinは「世界最大の人助けネットワーク」の構築を目指すANAHD発のスタートアップとして2020年4月に設立した。同社は7月18日、シリーズBラウンドの資金調達で、ソフトバンクを含む6社から総額37億円を調達したと発表した。ANAHD、日本政策投資銀行および三菱UFJ銀行からの出資と合わせて、累計77億円の資金調達を完了した。
avatarinは、「遠隔からAI化」という独自の手法を用いてマルチモーダルAIを開発している。これを搭載するコミュニケーションAIロボット「newme(ニューミー)」やモバイルツールなどを活用した接客ソリューションを手掛けている。
同社が定義する遠隔からAI化とは、「newme」を遠隔操作し、そのロボットが見て、聞いて、話して、動き回ってサービスを提供する過程で、個人が特定されないような形式で映像や音声、制御などの複合的なデータ(マルチモーダルデータ)を同時に記録し、それを元にAI学習を行うものとしている。
ソフトバンクは、avatarinが自社で収集する各業界のスキルデータを活用して、ロボットやスマートフォンなどのモバイルツールで利用できる業界特化型のマルチモーダルAIを開発するための支援を行う。
また大規模言語モデル(LLM)の研究開発力や計算基盤、アノテーション(AIの開発において機械学習モデルの構築に必要となる教師データを作成するために、画像やテキストなどあらゆる形態のデータにタグを付ける作業のこと)支援サービスを提供して支援することも検討する。
同社は今後、外国人観光客向けのカスタマーサポートなどの需要に対応するための多言語対応も検討するほか、スマホでも利用できるようにサービスの拡充に向けて協力を図っていく方針だ。また、5Gによるネットワーク環境も提供し、増大するデータ通信の需要への対応を支援していく。