TOWINGと日本農業は7月17日、TOWINGが開発した高機能バイオマス炭「宙炭(そらたん)」を活用した根域制限栽培によるシャインマスカット栽培の実証を開始したことを発表した。

  • トーイングと日本農業のロゴ

    バイオマス炭「宙炭」の実証を開始したTOWINGと日本農業(出所:日本農業)

サステナブルな農業の実現へバイオマス炭「宙炭」を実証

SDGsやサステナビリティに対する関心が高まる近年では、農林水産業のCO2ゼロエミッション化や、輸入原料および化石燃料を原料とした化学肥料の使用量低減など、農業の現場においても環境負荷軽減策の推進が求められている。そのため、調達や生産、加工・流通、消費などサプライチェーンのさまざまなプロセスにおいて、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を、イノベーションによって実現することが急務となっている。

そうした中でTOWINGは、地域の未利用バイオマスの炭化物に、同社が保有する土壌由来の微生物群を効率的に選別・培養することで、高機能バイオマス炭の宙炭を開発。その販売も行っている。同社は、農地に宙炭を使用することで作物の品質や収穫量が向上するとともに、温室効果ガス排出量削減や資源循環の促進などが可能になるとする。また、農林水産省による「みどりの食料システム法」に基づき認定された基盤確立事業者として、2023年6月には、バイオ炭の農地施用におけるJ-クレジットのプログラム認定を受けているとしている。

一方の日本農業は、農業の生産から販売までを一気通貫で担うことで産業の構造転換を目指すスタートアップ。同社は、日本国内のブドウ栽培面積が減少傾向にある中でも品質の高さから輸出量が増加する日本産ブドウについて、国内外の需要に対応可能な産地形成に取り組んでいるといい、2023年からは子会社のジャパングレープが栃木県宇都宮市の遊休農地を活用し、根域制限栽培のブドウ園地を運営している。

14.4kgの温室効果ガス削減効果を生む予定

  • ジャパングレープが運営するブドウ圃場

    ジャパングレープが運営する栃木県宇都宮市のブドウ圃場(出所:日本農業)

そして今般両社は、それぞれが持つ資源や特徴を活用することで宙炭を活用した実証を開始。前出の宇都宮市のブドウ園地で行われる同実証では、シャインマスカットの苗木10本に対して125Lの宙炭を施用し、根域制限栽培におけるシャインマスカット栽培を実施するといい、宙炭の施用量から14.4kgの温室効果ガス削減効果が見込まれるとした。

  • シャインマスカット栽培の様子

    シャインマスカット栽培の様子(出所:日本農業)

なお、シャインマスカット栽培および根域制限栽培における宙炭の使用は今回が初めてだといい、共同で生育調査を実施するとのこと。シャインマスカットの収穫は、2025年9月ごろを予定しているとする。両社は今回の実証を通じて、収穫量増加や品質向上に加え、環境負荷低減によるサステナブルな農業の実現を目指すとしている。