NTT Comとトランスコスモスが戦略的事業提携 新規ソリューションを共同開発

NTTコミュニケーションズとトランスコスモスは7月17日、AI活用時代のDigital BPOソリューション領域において、戦略的事業提携を締結した。NTT ComのAI技術をはじめとしたテクノロジーやインフラと、トランスコスモスの業務に精通した高度なノウハウ、およびDX活用人材を組み合わせることで、これまでにない強固なDigital BPOソリューションを提供する。「新規ソリューションの共同開発」と「顧客への導入・運用」で連携を深めることで、顧客のDX推進を加速し、豊かな社会の実現に貢献する。

NTTコミュニケーションズは、通信事業者ならではの高品質なインフラと技術を活かし、ネットワーク、クラウド、コロケーション、アプリケーション、セキュリティなどの多岐にわたるICTサービスを展開。2022年より、ドコモグループにおける法人事業の中核を担う企業となり、社会・産業のグローバルレベルでの構造変革や、新たなワークスタイルの創出、地域社会のDX支援などの価値を提供している。

一方、トランスコスモスは、企業のビジネスプロセスをコスト最適化と売上拡大の両面から支援するサービスを、アジアを中心に世界35の国と地域・181の拠点で展開。世界規模でのEC市場の拡大にあわせ、顧客企業の優良な商品・サービスを世界46の国と地域の消費者に届けるグローバルECワンストップサービスを提供している。

両社はこのほど、AI活用時代のDigital BPOソリューション領域において、戦略的事業提携を締結した。

▲事業提携の全体像

「新規ソリューションの共同開発」と「顧客への導入・運用」で連携し、「新規ソリューションの共同開発」では、NTT版大規模言語モデル「tsuzumi」を活用した次世代コンタクトセンターの開発や、教師データの提供による高精度な生成AIソリューションの開発を両社で進める。

また、経理・人事のバックヤード業務など、業界横断の共通業務の課題解決にむけインフラ・テクノロジーと専門人材をパッケージにした新たなソリューションの開発を行う。

「顧客への導入・運用」では、両社で開発したソリューションを互いの顧客へ共同で提案・提供する。

少子高齢化による労働人口の減少が課題となる中、企業が持続的な経済成長を実現するには、ICT技術の活用によるDXとそれを担う人材の確保が重要となる。一部の企業においては積極的なDX投資が進んでいますが、ICT技術のライフサイクルは非常に早く、その対応は容易ではない。

また、企業は、ESG経営など変化する複雑な社会要請にスピーディーに応えていく必要があるが、人手不足の中で各社がそれぞれ対応を行うには限界があるため、アウトソーシングによる事業の選択と集中が潮流となっている。

NTT Comは、生成AIやIOWN、5G、IoT、クラウドなど最新のテクノロジーを駆使した顧客DXの推進に強みを持つ。一方、トランスコスモスは、Digital BPOを軸に法人向けの幅広いBPO業務やコンタクトセンター運営など、業務のサポート領域に業界随一の強みを持っている。

今回の両社の事業提携により、「インフラ・テクノロジー」と「高度なノウハウ・DX活用人材」の両面から顧客の競争力強化に資するソリューションの提供拡大を図り、日本経済の持続的な発展を後押しする考えを示した。

今回の提携による具体的な取り組みとしては、「tsuzumi」を活用した次世代コンタクトセンターの開発、GXソリューションの提供、自治体DXソリューションの提供の3つを挙げた。

1つ目の取り組みでは、コンタクトセンターの業務効率化、および顧客接点の高度化を目的に、NTT版大規模言語モデル「tsuzumi」を活用したセキュアなAIコンタクトセンターを開発する。

▲「tsuzumi」を活用した次世代コンタクトセンターの開発

「tsuzumi」の特徴である超軽量を活かし、専門的な内容や各社特有の内容を学習させることで回答精度を向上を図る。オンプレミス環境やNTTグループのプライベートクラウドで利用できるため、個人情報や機密情報の取り扱いなど、高いセキュリティが求められる金融業界などを中心に、2027年末で約100社への導入を目指す。さらに「tsuzumi」を活用したAI自動応対サービスを展開し、要望に応じた最適な回答提示や自動化により顧客のCX向上にも貢献する。

取り組みの2つ目となるGXソリューションの提供では、GHG排出量について、算定ロジックの定義・データの収集・分析・可視化・GHG削減に向けたアクション提案などをワンストップで提供する。データの収集から可視化までを自動化することで、稼働をかけずに「サービスの購入金額や物量」「排出係数」「GHG排出量」などのデータを生成することができる。

取り組みの3つ目では、自治体のDX推進に向け、NTT Comの地域事業者向け運用管理システム「Local Government Platform」(LGPF)と、トランスコスモスのSNSを活用した住民コミュニケーションサービス、およびBPOサービスを両社でワンストップ提供する。自治体における職員やデジタル人材の不足を解決し、暮らしやすく魅力ある地域づくりを支援する。

NTT Comとトランスコスモスは本事業提携により、「新規ソリューションの共同開発」と「顧客への導入・運用」を加速し、今後5年間で1000億円のビジネス規模を目指す。

さらに今回具体的な取り組みとして発表した領域に加え、業界横断の共通業務ソリューションの開発を推進し、顧客ビジネスの競争力強化に貢献する考えを示した。