NECは7月12日、2024年度の内閣府「先端的サービスの開発・構築及び規制・制度改革に関する調査事業(スーパーシティ・デジタル田園健康特区対象)」に採択されたことを発表した。茨城県つくば市で災害に強いまちづくりを目指すとともに、規制・制度改革の実現に向けて先端技術を活用した実証実験を行う。実証時期は2024年11月~2025年1月(予定)、実証場所はつくば市内(一部エリアを想定)。
実証実験の概要
実証実験では、LLM(大規模言語モデル)と画像分析技術を使用して被災状況を把握し、住民に情報提供する。また、災害発生時の個人情報(個人が映り込んでいる写真や情報)の取り扱いについても検証し、防災分野でのデータ活用の可能性を広げるとしている。
具体的には、災害時を意識したエリア内の平時の状況を投稿画像として収集し、集めた投稿画像をLLMと画像分析によりダッシュボードで可視化。災害(火災)時の迅速な初動対策・対応などへの有効性や社会受容性を調査・実証し、実証で得られた結果を元に、データ連携基盤の活用でサービスの高度化を検討する。
また、つくば市公式アプリ「つくスマ」と連携して画像投稿を収集することで、災害時の課題となりえる平時の状況(違法駐車、混雑する場所など)を可視化する。さらに、災害時に有効となる情報の投稿を後押しし、スムーズな利用とその情報から安全な行動変容の実現を目指す。
同市では現場のリアルな状況を可視化できるサービスを活用することで、災害時の初動対策・対応に繋がるかを検証し、社会受容性についても評価を実施。実証で得られた結果を元に、データ連携基盤の活用による更なるサービスの高度化を検討するという。
NECは実証を通じて、「つくばスーパーサイエンスシティ構想」の実現に向けた取り組みを進める。LLMと画像分析を使用してまちの状態を可視化し、来年度以降はデジタルツインの実装を目指す。また、収集した情報を活用して、平時や災害時におけるさまざまなサービスの開発を進めていく考えだ。