EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)は7月5日、コスモエネルギーホールディングス(コスモエネルギーHD)が、サステナビリティ推進に必要となる非財務情報(数値化された財務データ以外の企業情報)の収集・管理プロセスをシステム化し、財務と非財務を一体化させたデータドリブンなサステナブル経営への取り組みを支援していると発表した。

非財務情報の収集・管理プロセスをシステム化する背景

コスモエネルギーHDは、昨今のSDGsやサステナビリティなどに関する国内外の動向を踏まえ、2020年にサステナビリティ推進部を設置、社長を議長とするサステナビリティ戦略会議を立ち上げ、サステナブル経営について理念体系から整理するなど推進基盤を固めてきた。

しかし、非財務指標と企業価値向上の関係を定量的に開示・分析することがサステナビリティ推進における課題となっており、開示・分析のために必要な膨大なデータの収集・集計は現場の負担になっていた。

特にCO2排出量などは、エネルギー使用量といった複数のデータから集計しなければならず、これらのデータを連結対象のグループ会社全体でとりまとめ、取締役会に報告するには、準備に3カ月かかる場合もあったという。こうした課題を解決するため、ESG関連データを一元的に収集・集計する非財務情報管理システムの構築を検討することとした。

コスモエネルギーHDは、中長期的に重要なESG課題8項目を明示し、それぞれに詳細なKPIを設定。各KPIの進捗状況を踏まえ、次のアクションを討議できるようにデータの依頼、収集、集計を効率化するべく、非財務情報管理システムの構築にあたり、複数社に提案を依頼。

その中で、EYSCの業務内容を深く理解しようとする姿勢、今後の社会的ニーズの変化にも対応でき得る柔軟なプラットフォームの提案、また、システム開発だけでなく、EYSCのサステナビリティ経営コンサルティングチームとの連携により開発・運用の先にある価値も共創できる点が評価され、EYSCがパートナーとして選定された。

収集から集計までのプロセスを1カ月から1週間に短縮

ゼロからのシステム開発を避け汎用性や拡張性を重視す同社の要望をもとに、プラットフォームは、マイクロソフトのサステナビリティソリューションである「Microsoft Sustainability Manager」を選定。

両社は各事業所で、データの収集・算出方法をシミュレーションすることで、製造、輸送、販売に至る各工程の情報収集方法などのヒアリングを実施。2022年にシステム構築を開始し、現在では各情報を集約するデータベースが完成している。

  • データ収集・管理の全体フローのイメージ

    データ収集・管理の全体フローのイメージ

データベースは転記ミスや抜け漏れを防げるため、検証作業の省力化が実現し、収集から集計プロセスでは、1カ月かかっていた作業が1週間程度にまで短縮することができたという。

また、整合性の確認もシステム上で行えるため、効率化と品質向上が両立でき、3カ月ほど掛かっていた取締役会への実績報告の準備期間もおよそ半分に削減。現在は、さらなる機能性向上に向けて、BIツール連携によるデータの可視化、収集の自動化に取り組んでいる。