DenodoTechnologiesは7月2日、データ仮想化プラットフォームの最新版「Denodo Platform 9.0」のリリースを発表した。同製品は、AIに関する機能が強化されている。

データの民主化を支援

「Denodo Platform」は、論理データのアーキテクチャを構築し、データの場所や物理スキーマから切り離して、セマンティックモデルを通じて、データに接続することを可能にする。

米Denodo Technologies 創設者兼CEO アンヘル・ヴィーニャ氏は、「Denodoはガリシア語で、恐怖や倦怠に打ち負かされることなく、危険や困難に直面しても、必ず目標を達成できるという気質を意味し、われわれはこれをデータの領域でやっている」と語った。

  • 米Denodo Technologies 創設者兼CEO アンヘル・ヴィーニャ氏

ヴィーニャ氏は、「データはデジタル変革とAIのビジネス導入の基盤となる。これまでデータ領域は取り込みや格納に重きが置かれていたが、現在はデータ活用が重視されている。データからどれだけアジャイルに価値を引き出せるかが、新たな注力点となっている。そうした中、データ量、データインフラストラクチャの種類、データ利用者の増加といった課題の解決において、われわれのビジョンは重要性を増している」と続けた。

さらに、ヴィーニャ氏は「ビジネスの言葉でデータを利活用できることが重要。Denodo Platformはビジネスとデータランドスケープの架け橋となる」と述べた。

ヴィーニャ氏は競合に対する差別化のポイントが3つあるとして、次のように語った。

「ビジネスユーザーにデータを開示することはわれわれが得意とするところであり、大きな価値を提供しているところ。また、「Denodo Platformを使うとITコストが削減される。最後に、一元的にセキュリティガバナンスを実現できるところが3つ目の価値だ」

AIに関する機能を強化

「Denodo Platform 9.0」の主な新機能としては、以下がある。

  • 自然言語によるクエリのサポート
  • データ準備ウィザード
  • インテリジェントなクエリの推奨
  • RAG(検索拡張生成 )を強化する機能
  • 開発者エクスペリエンス機能の向上
  • MPP(超並列処理) ベースのデータレイクエンジンの強化
  • 検査の強化

米Denodo Technologies Executive VP&CTO アルベルト・パン氏は、Denodo Platform 9.0の目玉として、「セルフサービスとAI」を挙げた。これを実現するのが「自然言語クエリと「データ準備ウィザード」「RAG(検索拡張生成 )を強化する機能」だ。

  • 米Denodo Technologies Executive VP&CTO アルベルト・パン氏

Denodo Platform 9.0では、ビジネスユーザーは、ChatGPT、AWS Bedrockといった他社の生成AIプラットフォームとの統合により、自然言語を使用してデータをクエリできるため、手動でクエリを作成する必要がない。

また、さまざまなユーザーが個々のニーズに合わせてデータセットをシームレスにカスタマイズできるようになった。ビジネスユーザーは、データチームのサポートなしでデータ製品を迅速に変更できるため、データチームはより戦略的なタスクに専念できる。

加えて、Denodo Platform 9.0はRAGを通じて、企業がリアルタイムで企業固有のデータを生成AIプロジェクトに簡単に組み込めるようにする。

パン氏は、「ChatGPTのような生成AIを活用する場合、社内のデータベースを使わないと適切な回答が出ない。Denodoでは、メタデータをベクトルデータ化して、ベクトルデータベースとリアルタイムで同期する。われわれはLLMの主要なベンダーと提携しており、シングルデータポイントを提供する。 LLMと企業データとの統合における要となる」と説明した。