【今期40%増収の実現性は?】faststep 有友純一郎代表「商品力と海外展開で売上100億円へ」

「今期は売上高100億円にいかないとダメだ」。ドレスや下着をEC展開するfast stepの有友純一郎代表は意気込む。今期は前期比40%超増収の100億円を目指す。主力商品であるドレスは「現場」にこだわり、下着は「ジャンル拡大」を行っていく。海外展開やモール強化も成長戦略に組み込む。モール強化は、有友代表自身が前線に出て事業強化を図る。

前期の売り上げは70億円ほどで、外部環境の変化が著しい中でしっかりと成長できた。新規顧客も着実な純増で推移している。昨今は、下着の買い替え期間がこれまでよりも短くなり、2~3カ月に1回のペースとなった。月に1着を買い替えるまでではないものの0.7着に増えている傾向がある。

<ドレスはすでに増産体制に>

今期はドレスと下着の施策をそれぞれ変えて展開する。ドレスは、着用モデルを一斉に変えた。これまでは著名人やモデルなどを起用していたが、飲食や接客の現場で働く女性に切り替えた。現役で働いている人の方が消費者と近い距離にあって発信力もあるからだ。

下着は取り扱いのないアイテムやジャンルの拡大を進める。新たな企画や新ブランドも実装していく。販促は、YouTuberなどを起用して販売を強化していく。同時並行でポップアップストアの展開も行う。

今年は外部環境の変化でドレスの売り上げが大きく伸びる可能性がある。すでに増産体制に入っており、コロナ禍で受けたハンディを巻き返していく。

<韓国を皮切りに海外進出>

もうすぐ形となる海外展開は、韓国への進出が先となりそうだ。直営展開で進めていたが、現地企業に販売をお願いする形に変更した。手を挙げてくれた3社と最終協議中だ。

韓国を選んだ理由はグローバルを取りにいくなら韓国攻略が必須という考えがある。韓国で成果をあげれば、アジア地域への攻めに転じやすい。会社やブランドの価値の向上にもつながる。

同時並行で、韓国の大手芸能プロダクションとの取引契約も無事に完了した。近く日本で新商品の販売も行う。当社が銀座に本社を移転して構えていることも契約が進んだ要因となったようだ。海外企業はこうしたところも見ているのかと改めて勉強になった。

国内でのECモール展開は、私自身も携わるつもりだ。当社は自社ECが強い。しかし、モールも数年前は一定以上の売り上げがあった。楽天市場においては月商数億円程度だったが、直近では数千万円規模になった。

モール展開の難しさはあるが、何を主に強化していくかを明確にすればプラスに働く。

会社としては、スタッフ体制を強化しつつ、一人一人の役員に権限を委譲する。それぞれ動ける組織体制の構築も進めて売上高100億円を目指す。

【記者の目】

同社を武器は「販売促進のマーケティング戦略」「在庫管理」の2つ。販売促進はさまざまなテストを繰り返して最適な施策を投じる。施策が不発だった場合の切り替えは早く、ドレス販売の施策の転換は一例だ。これから始まる海外展開に弾みがつけば、同社の成長はさらに急カーブを描くかもしれない。