【紅麹問題の逆境にどう対応?】ビタブリッドジャパン 大塚博史社長「『最適な体験価値の提供』貫く」

化粧品や健康食品のECを展開するビタブリッドジャパンでは、糖質ケア訴求の機能性表示食品「ターミナリアファースト プロフェッショナル」が、2019年の発売以来、大ヒットを続けている。2024年2月時点で、累計販売個数は777万個となったとしている。サプリのEC市場では、小林製薬の紅麹問題が大きく影響している。大塚博史社長は、「紅麹問題は、近年の健康食品市場では最大級ともいえる事件だが、われわれとしては、適切な商品開発と適切なコミュニケーションをしていくだけだ」と話す。

「ダイエット総市場」でシェア1位

2019年に発売した「ターミナリアファースト プロフェッショナル」が好調だ。2024年2月期の業績においても、「ターミナリア」がけん引してくれた。

「ターミナリア」は、ダイエット訴求の機能性表示食品としては、他メーカーの商品と比べて後発だが、あるシンクタンクの調査で、「ダイエット総市場」でシェア1位を獲得するなど、かなり売れている。

売れている理由は、商品の価値が時代にフィットしているからだと考えている。当社では、あらゆる媒体で、クリエーティブを絶えず変えながら、出稿している。ただ、広告でのコミュニケーションでは購入しないお客さまも一定数いる。商品のストーリーを作るなど、コンテンツマーケティングを行っている。

商品の品質が高いのは当然だ。お客さまがそこで体験したことが、お客さまの中で「ブランド」を作る。体験価値こそがブランディングだと考えている。

「ターミナリア」に次ぐ商品として、2023年には、「ジャパンプレミアムDHA・EPA&GABA」を発売した。「ターミナリア」よりも、ターゲットは10歳程度上の層に設定している。「ジャパンプレミアム」の売り上げは好調で、事業のポートフォリオの中でも重要な商品となってきている。

今後は、当社の中で独自に研究・分析する事業を行いたい。独自に研究し、オリジナルの機能性関与成分やヘルスクレームを作ることができれば、大きなチャンスになる。

「誰にでもいい商品」ではなく、「一部の人に深く刺さる商品」を複数展開していく。最大よりも最適を追求する、「便益独自性」を追求していく。

近年で最大の事件

3月に発生した紅麹問題は、近年では健康食品市場で最大級ともいえる事件だという印象だ。小林製薬の製造工程の問題だと言われているが、機能性表示食品市場全体が不安にさらされている。

当社でも、新規顧客の獲得効率が、完全には戻っていない状況だ。

私は20年以上、健康食品の通販に携わっているが、こうした問題の多くは、大手メディアの報道が沈静化してから3カ月程度で、お客さまが戻ってくるという傾向がある。

紅麹問題について、大手メディアの報道がいつ鎮静化するかはまだ分からないが、年内には正常化することを期待したい。

紅麹問題をポジティブに考えることもできる。今まで他のサプリメントを購入するきっかけがなかったお客さまが、今回の騒動をきっかけに、別の商品の購入を検討する機会になったともいえる。

われわれとして、やることは同じだ。品質管理を徹底した上で、お客さまの可能性を広げ、誰かにとっての最適な価値を提供し続けられるよう尽力していく。

【記者の目】

ビタブリッドジャパンでは、糖質ケアの機能性表示食品「ターミナリアファースト」が、全社売り上げの7割を占めており、主力商品となっている。

「ターミナリア」のボリューム層は30代だ。一方、最近売り上げを伸ばしている、DHA・EPAの機能性表示食品は、40代以上の層をターゲットにしている。紅麹問題を慎重に捉えているのは、ミドルからシニア層だと言われている。

「ターミナリア」以外の層を順調に開拓できるかが今後の明暗を分けそうだ。