【UGCからスポット雇用まで支援】バニッシュ・スタンダード、ファン活用の新サービス「FANBASSADOR」発表

スタッフDXアプリケーションサービス「STAFF START(スタッフスタート)」を運営するバニッシュ・スタンダードは6月27日、ブランドが好きなファンのリソースを店舗運営に活用できるファンコマースプラットフォーム「FANBASSADOR(ファンバサダ―)」の提供を開始した。サービス発表会では、バニッシュ・スタンダードの小野里寧晃代表が新サービスを紹介しただけではなく、小野里代表とビームス設楽洋社長と「業界の人材不足」をテーマにしたトークセッションも実施した。

「FANBASSADOR」は6月27日、第1弾としてUGC(ユーザー生成コンテンツ)活用を支援する「キュレーション」機能の提供を開始した。今秋にはファンをスコアリングして選別できたり、協力してくれたファンに報酬を与えたりする機能を実装する予定。来年には、ファンに仕事を依頼できる「リクルーティング」機能の提供も計画している。ファンを巻き込み、小売・サービス業の人手不足の解消を支援するサービスとして、3年後に1000社が利用し、ブランドのファンが100万人参加するプラットフォームに成長させたい考えだ。

<深刻化する人手不足の課題を解決するサービス>

新サービスの発表会に登壇したバニッシュ・スタンダードの小野里代表は、「『STAFF START』は導入ブランド数が2600を超えた。アパレルから導入が進んだが、現在アパレルの比率は約65%となっており、アパレル以外のブランドにも導入が進んでいる。利用スタッフ数は23万3000人を突破し、『STAFF START』経由の年間流通総額は1748億円に達している。そして、今回、『STAFF START』を拡張させたサービスとして『FANBASSADOR』の提供を開始する。買い手が売り手になるサービスだ。アフターコロナになり、人手不足が深刻化する小売・サービス業界の課題を解決するサービスだ」と話す。

▲バニッシュ・スタンダードの小野里寧晃代表

「FANBASSADOR」は、企業が顧客やOB・OG(アルムナイ)など、その企業のことが好きな人=”ファン”とつながり、「ファンバサダー(Fan+Aambassador)」としてECの共創やスポット雇用、さらには直接雇用を実現できるサービスになるという。

第1弾で提供する「キュレーション」機能は、Instagram投稿をハッシュタグ検索し、ユーザーへの自社ECサイトへの掲載依頼や投稿商品のひも付け、掲載作業、効果測定まで行えるUGC機能だ。

「これまでのUGCツールとは異なり、ファンのInstagram経由のECサイトへの集客や売り上げの計測ができるようにする。SNSの集客もできるUGCとして発展させる」(小野里代表)と話す。

▲「キュレーション」機能の管理画面イメージ

SNS計測用URLを発行することで、ファンバサダーのInstagramからの集客や売り上げの計測が可能となる。フォロワー数だけではない、ブランドを共創する上で大切な「売り上げを作れる」実績を持つファンバサダーの見極めや育成ができるようになるという。

今秋には、従来のUGCで最も手間がかかっていた、ブランドのファンを探す作業をバニッシュ・スタンダードがサポートするサービスも提供する。予めバニッシュ・スタンダーがスカウトした、「キュレーション」機能に参画可能なInstagramのユーザーを「FANBASSADOR」上で閲覧でき、フォロワー数や投稿頻度などを確認して、依頼することができるようになる。

「商業施設にも協力してもらい、参加してくれるファンを集めたい。ブランドにも店頭やECで商品を購入した顧客に、『FANBASSADOR』の投稿アプリのダウンロードを呼びかけてもらいたいと思っている。たくさんのファンを集め、ブランドが協力してくれるファンを選べる環境を作る。投稿を希望するファンに審査結果を伝えるのは当社が行う」(同)と話す。

<スコアリング機能やリクルーティング機能を提供予定>

今秋には他にも、投稿したコンテンツ経由の売り上げデータをもとに、店舗スタッフやファンバサダーのパフォーマンスを可視化する「スコアリング」機能を提供する。単純な売上高だけではない、ファン度や活躍度など多角的なスコアリングによって、自社に最適なファンバサダー選びを実現する。

「過去の投稿を活用させてもらうUGCだけではなく、ファンの未来の時間も使わせていただくために、報酬を提供できる機能も実装する。報酬はファンの方の投稿が自社ECにおいて貢献した売り上げを原資にすることができる。固定費を支払うのではなく、成果報酬型で支払うことができ、バニッシュ・スタンダードがファンへの振り込みを対応する予定だ」(同)と話す。

今秋、優れたファンバサダーに対し、ECへのコンテンツ投稿の依頼、成果に応じたインセンティブの支払いが可能な「アンバサダー」機能も提供する。企業は最適な人材に仕事を依頼できることで売り上げ向上が見込め、ファンバサダーは好きな企業での就業体験、オンラインでスポットワークができる。

「スコアが高い人には報酬だけではない特別待遇を提供しても良いと思う。社割や公認フラグ、ファミリーセールへの特別招待を提供しても良い。この報酬はブランドと協議して決めていく」(同)と話す。

来年には、企業が転職や就職を考えている登録者や、オンラインでスポットワークをしてくれたファンバサダーに直接スカウトを送ることができる「リクルーティング」機能の提供を計画している。スタッフ・ファンバサダーにとっても、自身の市場価値が可視化できることによって、好きな企業から良い条件でオファーがくる可能性が上がるという。

バニッシュ・スタンダードの小野里社長はプレゼンの最後に、「今年は他にも新サービスの提供を予定している。詳細はまだ話せないが、サービス名は『なかよしミラー』だ。ついにECサイトで孤独に買い物するということが無くなる。仲良しな人と一緒に買い物できるサービスだ。ぜひ期待してほしい」と話した。

<ビームス設楽社長「ファンがもの作りに参加できたら面白い」>

新サービス発表会では、「業界の人材不足」をテーマにバニッシュ・スタンダードの小野里代表と、ビームスの設楽社長がトークセッションを実施した。

ビームスの設楽社長は、「一般的な離職率は15%前後、ファッション業界だともっと高いと言われているが、ビームスの5年間の離職率は4%だ。いかにスタッフがビームス愛を持っているかが表れている。採用では能力主義ではなく、好きでたまらないことがあり、その思いがビームスに近しいものがある人材を採っている。そんな人材がビームスの中で、同好の士(好きな物事について共感し合える仲間)が見つかり、仕事や遊びが楽しくなる。小野里さんが新たに始めるサービスで、お客さまも含めて同好の士が広がっていかないかなと思っている」と話す。

▲バニッシュ・スタンダードの小野里寧晃代表(左)とビームスの設楽洋社長(右)がトークセッション

今後、「FANBASSADOR」に期待したいこととしては、「ビームスでも小さい形だが、一部のブランドでファンコミュニティーを作り始めている。『BEAMS BOY』では、ファンと一緒にもの作りをするところまできている。『FANBASSADOR』でも最終的には、ファンの皆さんが欲しいものを、自ら参加してもの作りまでできたら面白いと思う」(設楽社長)と述べた。