家電のECサイト「ECカレント」を運営するストリームは、今年も継続してエアコンなどの「大型家電の設置・配送サービス」の強化に注力していく。猛暑を見越し、夏関連商品の仕入れを強化する。ストリームの右田哲也取締役に、前期(2024年1月期)の振り返りと、今期の展望、自社プライベートブランド(PB)の動向などについて聞いた。
<前期は苦戦した1年>
2024年1月期を振り返ると苦戦した1年だった。振り返ると世の中の市場感が変化した1年だったと思っている。最初は光熱費関連の高騰、その後食料、生活必需品などの価格が高騰した。それに伴い、家電を「買い替えなくてもいいかな」「購入するのは後回しにしよう」とお客さまの節約志向が高まり、買い替えを控える人が増えた。
その中で当社の前期の取り組みとしては、ANA Xが運営する「ANA Mall」、NTTドコモとオールアバウトライフマーケティングが共同運営する「dショッピング」など、新たな販路に出店した。「ANA X」は2023年1月に出店して、現在、ちょうど1年半を迎える。最初は厳しい状況だったが、少しずつ形になってきており、現在は堅調に推移している。
また前期は「大型家電の設置・配送サービス」が好評だった。電話で注文を受けるが、滞りなく受け答えられるよう、オペレーターの電話の接客品質の向上に取り組んだ。迅速に顧客のもとに商品を送れるよう、インフラの整備を含め配送スピードの向上にも注力した。
直近の展望では、キャッシュレス決済主流の昨今、”ポイ活”もますます注目されてくると思われ、「ECカレント」では、「ⅾ払い」決済の導入や会員限定ECカレントポイントバックなどのキャンペーンを実施していく。
また、今年も暑い夏になると予測し、それに備えて、昨年好評だった「大型家電の設置・配送サービス」のさらなる強化を図る。他社もそうだと思うが、早めに商品を仕入れて商品数を確保し、エアコン早期割引キャンペーンなどを実施していく。今期は仕入れ先も拡充していきたい。家電の中でもまだ当社と取引のない企業も開拓し、商品ジャンルを広げていきたい。
<自社PBやレンタルECの法人営業も注力>
当社は「ECカレント」で家電の仕入れ販売を行っているほか、自社PB「enas(イーネーズ)」、レンタルECサイト「Rentoco(レントコ)」も展開している。
「enas」は「必要な機能をシンプルに絞り込み、さらに『あったらいいね!』という便利機能をプラスワン。そして洗練されたデザインで新しい価値を提案するいいものを目指す」をコンセプトにしている。その中で、第5弾の高性能水拭き掃除機「ウェット&ドライ スマートクリーナー」は法人向けにも最適だと考えている。
同商品は一般的な掃除機の吸引掃除と、電動モップなどの水拭き掃除をこの1台で同時に行う。企業のエントランスなどの掃除に活躍するだろう。「Rentoco」も個人だけでなく、法人利用にも継続して注力していきたい。法人の場合は、一度の契約で、個人より数多くの商品のレンタルにつながる。「Rentoco」では、一度借りてくれた法人顧客に再びアプローチして、サービスのリピート利用につなげていく。
【記者の目】
現在の家電EC業界は、アフターコロナの影響を受けて苦しんでいる企業が多い。相次ぐ物価高騰、消費者のリアル回帰により、家電をECで購入するのを買い控える人が増加している。ストリームを取材すると、家電製品は”安売り”が主流だということが分かった。
他社に負けじと安く販売すると必然的に会社の利益は逼迫(ひっぱく)する。そこでストリームが仕掛ける自社PB「enas」に注目したい。市場にあまりない商品で便利な商品を取りそろえている。「enas」をどのように成長させていくのか。今後の動向に注目したい。