米国連邦取引委員会(FTC: Federal Trade Commission)は6月17日(米国時間)、「FTC Takes Action Against Adobe and Executives for Hiding Fees, Preventing Consumers from Easily Cancelling Software Subscriptions|Federal Trade Commission」において、Adobeおよびその幹部2名対して措置を講じることを発表した。Adobeは消費者に対し、PhotoshopやAcrobatを含む人気のサブスクリプションプランの解約手数料(ETF: Early Termination Fee)を十分に開示せず、消費者を「年間」プランに誘導していたとして訴えられている。

  • FTC Takes Action Against Adobe and Executives for Hiding Fees、Preventing Consumers from Easily Cancelling Software Subscriptions|Federal Trade Commission

    FTC Takes Action Against Adobe and Executives for Hiding Fees, Preventing Consumers from Easily Cancelling Software Subscriptions|Federal Trade Commission

Adobeの解約隠蔽行為に法的措置

2012年以降、Adobeでサブスクリプションモデルに移行が進み、Adobe製品を愛用しているユーザーは定期的に料金を支払う形で利用するようになった。訴状によると、ユーザーがAdobeのWebサイトでサブスクリプションを購入する際、年間払いプランが事前に選択されており、解約時に発生する解約手数料の詳細は小さな文字やマウスオーバーのアイコンでしか表示されていないという。

この問題に関し、FTCおよび米国商業改善協会(BBB: Better Business Bureau)に多くの消費者から苦情が寄せられており、彼らは年間プランにおいて1年間の契約継続が必要であることを知らなかったと訴えている。この苦情をAdobeは認識していたにもかかわらず、年間プランに誘導する慣行を続けていたとされている。

消費者に解約手数料を十分に開示せず、解約プロセスを意図的に複雑にしている点も問題視されている。消費者がWebサイトで解約する場合、多数のページを移動しなければならず、カスタマーサービスに連絡しても担当者の対応をわざと遅らせることが多いという苦情が寄せられている。サブスクリプションを正常に解約したと信じていた消費者が後になって請求を受け続けるケースも発生している。

この問題に対し、米国連邦取引委員会で民事罰金の訴状を司法省に提出するかの投票が行われ可決されている。訴状は北カリフォルニア地区の米国地方裁判所に提出されている。

Adobeは今回の訴訟に対し異議を唱えている。声明ではサブスクリプションサービスは便利で柔軟性があり、コスト効率に優れているため消費者は自分のニーズ、スケジュール、予算に最適なプランを選択できると説明している。また、サブスクリプション契約の条件も透明であり、キャンセル手続きも簡単であると主張している(参考:「Adobe - Adobe's Statement Regarding Federal Trade Commission Complaint」)。

Adobeの主張が受け入れられるのか、今後の展開が注目される。