東レ発のベンチャー「MOONRAKERS」、「日本新規事業大賞」受賞 先端テック素材搭載したアパレルD2C

東レ発のベンチャープロジェクト「MOONRAKERS(ムーンレイカーズ)」を運営するMOONRAKERS TECHNOLOGIESはこのほど、5月15日に開催された企業内新規事業を表彰するピッチイベント「日本新規事業大賞 by Startup JAPAN」において、大賞を受賞したと発表した。「大企業の研究成果の事業化、眠れる資源を生かし日本を活性化する象徴的な新規事業」と評価されての受賞となった。

MOONRAKERS TECHNOLOGIESの運営する「MOONRAKERS」は、「先端技術による未来のファッション」の創造を目指す東レ発のベンチャープロジェクト。

先端素材は、宇宙空間などの極限環境でも快適性を提供できるまでに進化し、中でも日本の先端素材は現在も世界最高レベルにあり、世界を変える力がある。一方で、長く続いた日本のデフレ環境はファッション産業を疲弊させ、過度に価格重視の姿勢は技術開発の停滞につながると懸念されている。

こうした状況に危機感を持ち、立ち上げたプロジェクトで、日本が世界に誇る最新の先端テクノロジー素材を日常生活そのものである「服」に搭載し、ユーザーにダイレクトに届けるD2Cブランドを展開。ファッションビジネスの革新(FBX=ファッションビジネス トランスフォーメーション)に挑戦しながら、快適で便利で美しい「ミライの生活」の創造を目指している。

先端テクノロジーを駆使したプロダクトと素材から縫製まで一元管理する強力なサプライチェーン、クラウドファンディングを活用した受注生産システムの駆使で失敗しても何度でも挑戦できる商品開発などにより、従来の4倍速という驚異的なスピードで唯一無二の先端素材商品を連続して開発・生産し、世に送り出すことことを可能にしており、こうして生まれた東レ技術開発力のフルパワーを引き出した先端素材商品「MOON-TECH(ムーンテック)」は大きな反響を得ている。その他、究極のアクティブスーツを目指した「Ultimaflex suits(アルティマフレックス スーツ)」や、先端複合紡糸技術「NANODESIGN(ナノデザイン)」を駆使し、白シャツの在り方を変えたと称される「Camifu Shirts(カミフ シャツ)」など、「服の在り方を変える」ヒット商品を次々と開発している。

このほど、「企業の中から価値を生み出す」をテーマに、企業の可能性を拡げる事業を立ち上げ、それにより企業変革を成し遂げている大企業・中小企業を表彰を目的として開催された「日本新規事業大賞 by Startup JAPAN」において、大賞を受賞した。

5月15日に東京ビックサイトにて開催されたスタートアップ業界に特化した展示会「Startup JAPAN 2024」において開催された「日本新規事業大賞 by Startup JAPAN」には、日本を代表する企業(トヨタ、NTTドコモ、東レ、電通、朝日インテック)発の新事業ファイナリスト5名が登壇。最終審査の結果、「MOONRAKERS」が大賞に選出された。

審査員を務めた、経済産業省 中小企業基盤整備機構 審議役 石井芳明氏は、「大企業の中にある資源を生かしたプロダクトを世の中へ打ち出すことへの強い思いを感じました。今の日本の研究開発の民間部門の9割は大企業です。しかしそのうちの6割は世に出ることなく消えてしまっており、事業化への橋渡しが大きな課題です。MOONRAKERS TECHNOLOGIESは、大企業の研究成果の事業化、眠れる資源を生かすための象徴的な新規事業だと感じ選定しました」とコメントした。