シャープ、台湾の樺漢科技とスマートリテールで協業 第1弾でPOS・スマートタグ・デジタル広告の連携サービス開発へ

シャープは6月17日、産業コンピュータ分野大手で、台湾を本拠とする樺漢科技(ENNOCONN Corporation)と、スマートリテール分野を中心とした協業に関する覚書(MOU)を締結した。アジアでのスマートリテール、エネルギー分野などで新たなビジネスの創出を目指す。

シャープは、複合機やPC、リテールソリューションをはじめとした幅広い製品やサービス網を持ち、グローバルで顧客基盤を有している。一方、樺漢科技は、産業用コンピュータ分野における包括的なサプライヤーとして、統合クラウド管理サービスや産業用IoTなどに強みを持ち、AIや自動化技術においても豊富なリソースを有している。

今回の協業により、両社が持つ技術や製品、販売チャネルを融合し、スマートリテール分野における新たなビジネスの創出に取り組むとし、第1弾として、POSシステムやスマートタグ、デジタル広告などを組み合わせたサービスの共同開発を目指す。

ECとリアル店舗間でのシームレスなショッピング体験を提供するソリューション構築に向け、台湾で実証実験も予定している。中長期的には、店舗や商業ビル向けのエネルギーマネジメントなど、リテール分野以外にも協業範囲を広げるとともに、台湾を皮切りに、日本および東南アジア地域にも取り組みを拡大するとしている。

協業にあたり、樺漢科技 CEO 蔡能吉氏は、「昨今、製品のライフサイクルが短くなり、消費者のニーズが多様化するなか、新製品の開発コストの増大が各社の課題になっています。シャープのブランドや技術力、販売チャネルやサービスを、当社の技術やソリューションと組み合わせることで、開発効率をさらに高め、収益性を向上させることができると期待しています。両社はこの戦略的合意により、迅速に新たな市場を開拓することができると確信しています」と述べた。

シャープ 執行役員 スマートオフィスビジネスグループ長 河村哲治氏は、「樺漢科技との戦略的な協力関係の構築を大変光栄に思います。本協業により、それぞれの分野でリーダーシップをもつ両社が手を携えることで、革新的なビジネスの創出に繋がると確信しています。両社の技術を結集し、スマートソリューションとして融合させることで、グローバルにおける顧客ニーズに迅速に対応してまいります」とコメントした。

両社は本覚書の締結を機に、AIをはじめとする先進的な技術も積極的に活用し、DXやESGの推進に貢献する事業領域の拡大に協力して取り組んでいく考えを示した。