大和ハウスが初の売上高5兆円 米国の戸建て事業が回復へ

創業100周年の2055年に10兆円の目標

「元々、(中期経営計画初年度の2022年度の売上高は)4兆9000億円からスタートして、(23年度は)5兆2000億円を超えた。これは非常に強い数字。やり遂げてくれた社員、技術の人達に感謝している。10兆円に向けた大きなバネになる」と話すのは、大和ハウス工業社長の芳井敬一氏。

 大和ハウス工業の売上高が、24年3月期で初めて5兆円を超えた。売上高は5兆2029億円(前年同期比6.0%増)、営業利益は4402億円(同5.4%減、退職給付債務の数理差異の影響を除けば7%増)。

 現在の大和ハウス工業の事業構成を見ると賃貸住宅、商業施設、事業施設が3本柱となっている。その中で国内と海外の戸建住宅の回復が課題となっていたが、国内については注文住宅以上に建売住宅の割合を増やし、事業効率を改善する。

 顧客の要望を聞いて建築する注文住宅は一般に工期が長く、コストがかかるが、建売住宅は営業や設計のコストを抑えることができる。

 また、金利上昇で住宅ローン金利が上がり、市場が低迷していた米国の戸建て住宅だが、25年3月期の営業利益は前年同期比で約21%増益を見込む。芳井氏は「地域によって差はあるが需要はある」と話す。海外の戸建住宅事業全体では約49%増益と好調を維持。

 西海岸は厳しいが、ヒューストンやダラスなどで金利分負担のキャンペーンなどを打つと売れるのだという。「ワシントンも好調」と芳井氏。いかにして土地を仕入れるかが重要だが、スタンレーマーチン、キャッスルロック、トゥルマークという米国で戸建て事業を手掛けるグループ3社は「4年分のパイプラインを確保している」(芳井氏)。

 創業者・石橋信夫氏が掲げた、創業100周年の2055年に売上高10兆円という目標に向かって、グループ一丸で臨む。