神戸市、アシックス、アリストル、Wellmira、NTTデータ、三井不動産、BIPROGY、UDCKタウンマネジメントは6月14日、神戸市民の運動習慣の継続化に関する実証事業の結果について公表した。この実証は、柏の葉スマートシティで展開する健康管理やフィットネスアプリが利用できるポータルサービス「スマートライフパス」とパーソナルデータ連携基盤「Dot to Dot」を共同利用して実施した。
実証事業の概要
20~40代の女性は他の世代と比べて運動実施率が低く、ライフステージの変化において体調不良に直面しやすいという神戸市の健康増進施策の課題に対して、KOBEスマートシティ推進コンソーシアムの実証事業を実施した。この事業は、ウェルネスサービスの利用による運動習慣の継続化を目的とする。
実証では、20~40代の女性を対象にした健康増進サポート事業「KOBE Sports & Well-being City Project」(以下、KOBEプロジェクト)の参加者100人を対象に、スマートライフパスとDot to Dotを用いて運動習慣の変化を確認した。
今回スマートライフパスを通して参加者に提供された提携サービスは、パーソナルAIコーチが健康アドバイスを提供する「カロママ プラス」、パーソナルフィットネス「Beatfit」、バイタルデータ管理サービス「Health Data Bank」、ベビーシッター・家事代行サービス「KIDSLINE」。KOBEプロジェクトで活用している「ASICS WELLNESS CONSULTANT」も継続して提供した。
実証事業の結果
参加者へのアンケート調査と提携サービスの利用状況を分析したところ、複数のウェルネスサービスの利用機会と利用サポートの提供は、運動習慣の継続化に役立てられる可能性が示された。また、参加者および提供者の両視点からサービスの共同利用に起因する課題は見受けられなかったとのことだ。
スマートライフパスの利用前と利用後を比較したところ、参加者の16%で運動量が増加した。参加者に対する対面によるサポートで初期設定の負担を軽減し、複数のサービスが使える環境を提供でき、利用状況から人気ランキングの提示やメールによる利用促進を実施することで、参加者が運動を行うきっかけにつながったという。
また、アンケート調査の結果では、提携サービスの利用で提供される健康スコアやアドバイス、自分にあったフィットネスコンテンツにより「やる気が出た」という意見が多数を占めたとのことだ。
積極的な利用者は一日に複数回提携サービスを利用しており、提携サービスが運動習慣化のきっかけとなることがうかがえた。パーソナルデータ連携基盤「Dot to Dot」を介して提供される疾病リスク予測においても、参加者の行動変容が確認している。
個人データの第三者提供に関してアンケートを実施した結果、8割近くが「新しい体験ができるなど、自分にメリットがあるなら提供する」と回答。提供するメリットが明瞭であればデータ提供に前向きな様子が確認された。
その一方で、データの第三者提供には、個人情報保護法などの法令に準拠していることや、自分で選んだデータのみ提供したいといった慎重な意見もあり、個人データの利活用には丁寧な対応が求められていることもうかがえる結果となった。