三菱商事が、『ケンタッキーフライドチキン』で知られる日本KFCホールディングスの株式を売却することを決めた。
三菱商事が保有していた日本KFCの株式は35.12%で、全株式を米投資ファンド、カーライル・グループへ売却する。売却額は約400億円で、日本KFCは上場廃止となり、カーライルの100%子会社となる見通しだ。
日本KFCは日本万国博覧会が開催された1970年、米国ケンタッキー・フライド・チキン・コーポレーションと三菱商事の折半出資によって設立された。以来、50年余にわたり、三菱商事は同社の経営に参画。人材の派遣や原料供給などを行ってきた。
現在、同社は約1200店舗を展開。2024年3月期は売上高1106億円(前年同期比10.8%増)、営業利益58億円(同61.9%増)と増収増益だった。
しかし、人口減少・少子高齢化が続く国内市場では、今後の成長が見込めない。そのため、同社は「日本KFCの更なる企業価値向上に向け、カーライルが最適なパートナーと判断した」ようだ。
24年3月期に9640億円と、過去最高益(23年3月期の1兆1806億円)に近い純利益をたたき出した三菱商事。同社は「中期経営戦略2024」の中で、戦略的事業ポートフォリオの入替を推進するとしており、今年2月には子会社のローソンをKDDIとの共同出資によって持分法適用会社化することを決めている。
5月の決算会見で、社長の中西勝也氏は「24年度以降、足元の利益水準をしっかりと維持した上で、(時代の変化に対応し、経営資源を次の成長の芽や柱へ入れ替える)循環型成長モデルの実践を通じて1兆円を超える利益水準を目指す」と話した。
今回の日本KFC売却も中計に沿ったポートフォリオ入替の一環。出資比率の変更や事業売却など、今後も事業の選択と集中が進みそうだ。