ベルシステム24、エスプールセールスサポートと「リアルプロモーションCRM」提供 対面販促から顧客育成まで支援

コンタクトセンター業界大手のベルシステム24は2024年3月、ダイレクトプロモーション支援を行うエスプールセールスサポートと連携した。両社共同で、対面プロモーションによる顧客獲得からロイヤル顧客の醸成までワンストップで提供する「リアルプロモーションCRM」の提供を開始した。コロナ禍が収束し、通販・EC企業はオフライン展開に乗り出している。企業のオフライン展開からオンラインでの顧客育成までを支援する新サービスの内容について、ベルシステム24の第2事業本部 営業企画部 営業企画G グループマネージャー 渡邉渓太氏とエスプールセールスサポートの副社長 執行役員 ダイレクトプロモーション事業部 事業部長 山本勝治氏に聞いた。

――エスプールセールスサポートと連携した経緯について伺いたい。

渡邉:当社のクライアントには、EC・通販関連の企業も多くいるが、コロナ禍でベンチャー企業やスタートアップ企業のEC事業への参入が活発化したことで、ウエブ広告からの獲得効率が悪化し、集客や購入の面で苦戦しているケースが増えていた。そのため、以前のように広告で商品を訴求しても、そこからページに流入して商品を購入する人が少なくなった。口コミによる商品の反響もSNS上などで上がりにくくなったとの声が多くあった。

このほか、60~70代のシニア層になかなかECサイトで商品を購入してもらえないという事実もある。こういったことから、企業としては消費者へのアプローチの方法を変更する必要が生まれた。そこで”対面”での訴求で商品やサービスの認知拡大を目的に、対面での訴求に強いエスプールセールスサポートと組むことになった。

――具体的なサービス内容は?

渡邉:エスプールセールスサポートで対面プロモーションを行い、そこで獲得した顧客に対してベルシステム24のCRM分析に基づいた電話などでのアフターフォローによるロイヤル顧客への育成を図る。具体的には、両社で、企画の立案から、クリエーティブ(ブース作成、チラシ作成)、対面販売員のマニュアル作成、人材育成、対面販売、コンタクトセンターでのアフターフォロー、効果検証まで一連の支援をワンストップで対応する。

エスプールセールスサポートは、商業施設や百貨店などでポップアップイベントなどを実施しており対面でのプロモーションに精通している。年間6000回以上の対面プロモーションの実績を持ち、提携する温浴施設、フィットネスジム、商業施設などは全国で2万カ所を超え、ロケーション、商材、ターゲット層に合わせたエリア・施設を選定し、対面プロモーションでの新規顧客の獲得につなげていく。

一方、ベルシステム24は電話などを活用したアフターフォローメソッド、CRM分析に強みを持つ。対面プロモーションで獲得した顧客に対して、顧客情報やアンケート結果などを基にしたCRM分析を行い、電話・メールなどによる適切なタイミングでのアプローチにより、定期購入会員への引き上げなどを実施する。加えて、トークスクリプトや研修内容のブラッシュアップを行うことで、オフライン・オンライン双方での顧客獲得力を上げることで、ロイヤル顧客化や顧客のLTV(顧客生涯価値)向上を図る。

――実施に当たり、企業が必要なものは?

渡邉:販売する商材を用意していただくだけだ。その後の対面プロモーションと顧客獲得に向けた一連のフローは、当社とエスプールセールスサポートで請け負う。まずは実施に当たり、商材における、ターゲット層をヒアリングし、ターゲット選定を行う。  

その後、過去の実績より、商材に合ったターゲット層が出没しやすい場所や需要が高まるロケーションを選定し、企業に提案する。例えば、「温浴施設」は化粧品の販売が最適で、化粧を落とした状態で、商品を試すことで、効果が分かりやすくなる。

「フィットネスジム」は健康に関心が高い人が集まるため、健康食品やプロテインなどを販売することを推奨している。「商業施設」は家族が訪れるため、家族に訴求できる商品の販売に優れている。

――事例についても伺いたい。

山本:大手飲料メーカーの化粧品ブランドの事例がある。そのクライアントは化粧品における新規顧客の獲得とブランドの認知拡大に課題を抱えていた。実行策としては、先ほども話に出たが、「温浴施設」での対面プロモーションを行った。化粧品は実際に使用してもらわないと効果を感じにくい。「温浴施設」に訪れる女性は化粧を落としていることも多く、さらに汗をかいていることで、化粧品の浸透・吸収率が高いため、実際の体験を通じて商品の訴求ポイントを感じてもらえた。

さらにそのクライアントはテレビCMの放送も実施していたため、その放送に合わせて、対面プロモーションを実行し、「この商品、最近テレビCMで放送している商品ですよ」と話し、興味を持ってもらうことを目指した。商品と販売場所の相性、訴求ポイントに合わせたトーク内容など、全てを連動して対面プロモーションを行っている。

また、ファミリー層への訴求を行う場合には、子どもにも興味を持ってもらえるような工夫をしている。飲料メーカーでの事例では、商業施設で野菜ジュースをプロモーションした際に、子どもに興味を持ってもらえる販売場所の動線を考えた。例えば、プラレールなどを用意し、常に電車を走らせて、興味を持たせる。このほか、実際に野菜ジュースを飲んだら、プレゼントを贈呈するなど、プレゼントキャンペーンを実施することも効果的だ。どれだけ商品のクオリティが高くても、見てもらえる動線を作らないと商品を知ってもらえない。子どもにも興味を持ってもらって、実際に飲んでもらい、家族単位で試してもらうことで自然な流れでの商品購入につなげている。

 

――プラレールやキャンペーン費用は企業持ちになるということか?

山本:一般的には、企業がプロモーションを実施する場合、制作会社が入ったり、人材会社が入ったり、多重構造になっているケースが多い。だが、今回の場合は、当社とベルシステム24の2社で内製化して行うため、多重構造の中間工程をカットできる。そのため、費用を抑えることができ、カットした分の費用を企画内容に充当することができる。費用を抑えつつ、さらなる有効的な施策を展開することが可能になる。

――費用面について伺いたい。

山本:あくまで目安だが、1回の対面プロモーションで10万円ほど発生すると考えていただきたい。基本は1回の単発ではなく、先ずは2カ月間で40回ほど開催し、効果検証を行った結果を基に、本格運用として継続的に対面プロモーションを開催していくことを推奨している。