米OpenAIは5月30日(現地時間)、大学向けの「ChatGPT Edu」と、非営利組織(NPO)向けの「OpenAI for Nonprofits」を発表した。

「ChatGPT Edu」は、大学が学術・研究、キャンパス運営に責任を持ってAIを導入するために構築されているChatGPTのバージョンである。今夏からの展開を予定している。

テキスト解釈、コーディング、数学的性能、マルチモーダル性能に優れた「GPT-4o」を搭載し、データ分析など高度な機能を利用できる。カスタマイズしたGPTを作成して、大学のワークスペース内で共有することも可能である。グループ権限、SSO、SCIM、GPT管理など、エンタープライズ向けと同等のセキュリティ、データプライバシー、管理コントロールを含み、それらを教育機関向けの料金で提供する。

ChatGPT Eduは、オックスフォード大学、ペンシルバニア大学ウォートンスクール、テキサス大学オースティン校、アリゾナ州立大学(ASU)、コロンビア大学など、ChatGPT Enterpriseを導入してきた大学の協力を得て開発されている。

ASUは今年1月、OpenAIとのコラボレーションを正式に開始し、AIイノベーション・チャレンジを通じて200以上ものAIプロジェクトを実施してきた。例えば、国際言語文化学部では、外国語でコミュニケーションをとる機会を増やすために、ドイツ語を教える准教授がLanguage Buddies GPTを開発した。学生はそれぞれの語学レベルにあったドイツ語の会話に参加しながら、語学スキルを高められる。同校のAIイノーベーション・チャレンジを通じたChatGPT Enterpriseの活用は、教職員および研究者から学生に拡大しており、今夏には114のプロジェクトが進行しているという。

ASUのような高等教育戦略に携わる大学がコミュニティの評価とフィードバックの収集に投資し、OpenAIのチームは新機能やサービスをリリースすることで、数々のプロジェクトから得られた洞察を行動につなげ、そうした学びをChatGPT Eduに結実させている。

「OpenAI for Nonprofits」は、非営利組織のAIツールへのアクセシビリティを高める新たな取り組みである。助成金申請書の作成、データ分析の精緻化、多様なオーディエンスへのコミュニケーション戦略など、ChatGPTは非営利組織が少ないリソースで生産性を向上させ、より多くの成果を上げることを可能にする。

例えば、THINK South Africaは、ChatGPTを使って健康データの分析や解釈を行う公衆衛生専門家のトレーニングを行っている。GLIDE Unconditional Legal Clinicは、来所面談の限られた時間の中でクライアントの悩みをより深く理解して必要なサポートを提供するために、法律扶助にChatGPTを利用している。

OpenAI for Nonprofitsでは、ChatGPT Teamを1ユーザーあたり20ドル/月にディスカウントし、大規模に導入する非営利組織にはChatGPT Enterpriseを最大50%割引で提供する。