NECおよび2025年日本国際博覧会協会は5月23日、NEC本社講堂にて「顔認証による万博会場内の店舗決済および入場管理」に関する記者発表会を開催した。
発表会では、大阪・関西万博会場内で実装予定の国内最大級となる顔認証決済ならびに入場管理などについて発表が行われたほか、決済端末を用いて顔認証決済のデモンストレーションが実施された。
万博会場内はキャッシュレス決済のみ
初めに登壇した2025年日本国際博覧会協会 企画局長の河本健一氏は、大阪・関西万博にて「キャッシュレス決済」を本格導入することを発表した。大阪・関西万博の会場内は全面的にキャッシュレス決済が導入され、現金が使用できない仕組みになるという。
「会場内のキャッシュレス手段は約60種類用意されており、クレジットカード、電子マネー、コード決済などに加えて、万博オリジナルのキャッシュレス機能である『ミャクぺ!』もご利用いただけます」(河本氏)
ミャクぺ!とは、万博オリジナルのキャッシュレス機能で、万博会場内だけでなく、コード決済または「Visa」のタッチ決済ができる全国の主要店舗でも利用可能。
チャージはクレジットカード、銀行口座、ミャクぺ!ギフトなどさまさまな方法で行うことができ、7月から万博オリジナルのEXPO2025デジタルウォレットで利用できる。
ミャクぺ!の最大の特徴は、NECの「顔認証決済システム」を導入しているという点だ。大阪・関西万博の通期パス・夏パスを利用している来場者、またはチケット券種に関わらずミャクぺ!に登録している人であれば万博会場内で顔認証で決済を行うことができる。
ミャクぺ!を利用することができるEXPO2025デジタルウォレットでは、電子マネー機能の他にも、ポイント機能の「ミャクポ!」、NFTの「ミャクーン!」の金融連携サービスも開始される予定で、デジタルウォレットの利用状況に応じて特典が受けられる「ミャクミャク リワードプログラム」の開始も見据えているという。
入場管理にも使用される顔認証
大阪・関西万博でNECの顔認証技術が用いられるのは電子決済だけではない。51台設置される予定の万博の入場ゲートにも顔認証機能が搭載されているのだ。
この入場管理の機能は、通期パス・夏パスのチケット購入者を対象としたシステムで、万博会場入口にある51カ所の入場ゲートに顔認証を搭載し、チケットの貸し借りなどによるなりすまし防止を実現する。
対象パスを持った人が入場する際は、チケットに記載のQRコードをゲートにかざした上でさらに、ゲートに設置するカメラを用いた顔認証の追加確認を行う仕組みとなっている。
登録者数はNECの国内における顔認証提供事例として最大規模となる120万IDを想定しているそうで、来場者がスムーズかつセキュアに入場できるシステムとしての運用を目指す方針だという。
通期パス・夏パスのチケット購入者は、一度の顔登録で会場内決済と入場の両サービスを利用できるため、万博会場で快適かつ便利な体験が可能となる。なお同サービスは、生体情報の使用に同意し登録した人が利用できるもので、顔画像などの個人情報は日本国内のプラットフォーム内に安全に保存されるという。