米国Alteryxは5月21日、生成AIに対する認識と心情に関する調査レポート「Market Research: Attitudes and Adoption of Generative AI(生成AIに対する考え方と受容に関する市場調査)」を発表した。
このレポートは、世界11カ国における企業のデータ利活用に携わるチームのITビジネスリーダー2000人と消費者3000人を対象に実施した、生成AIとの関わり方や導入状況についての調査結果をまとめたもの。調査対象者には、日本を含むアジア太平洋地域のITビジネスリーダー400人と消費者600人が含まれる。
生成AIを利用すべきでない分野は「倫理的な意思決定」
日本の回答者は、企業の77%が生成AIはビジネス価値を高めると回答している一方で、消費者の37%はその価値に懐疑的であり、また33%は生成AIの将来性に懸念があると回答するなど、企業と消費者の間で生成AIについての捉え方に相違があった。
生成AIの利用シーンを聞くと、消費者は情報検索が60%、企業はデータ分析が38%でそれぞれ最多となった。生成AIを利用する心情について尋ねると、消費者の85%が生成AIを利用したコンテンツの作成が増えることをポジティブに捉えており、53%はそれをポジティブに捉えているものの規制が必要であると回答している。
生成AIを利用すべきでない分野については、消費者が倫理的な意思決定(57%)、企業は重要な意思決定(49%)が最多。生成AIのハルシネーションがAIに対する全体的な信頼度を低下させると回答したのは企業が62%、消費者が79%であった。
過去1年間で、企業が生成AIを用いて試験的に行ったプロジェクトは平均3つで、そのうち80%が成功したと回答した。企業が挙げるAI利用拡大の最重要課題は、セキュリティの懸念(41%)、コスト管理(39%)、アウトプットの品質と信頼性(37%)が上位を占めた。また、41%の企業がAI利用に関する倫理ガイドラインを整備しており、この数値はAPAC平均の39%を上回った。
人材不足が生成AIの利用拡大を妨げている
企業の31%はスキルを持った人材不足が生成AIの利用拡大を妨げているとし、生成AIを利用している企業の16%はAIトレーニングを必須にしていない。企業の68%が今後2~3年で生成AIが既存の職務に取って代わる可能性が高いと感じている一方で、生成AIが雇用の喪失につながると考えている消費者は35%にとどまっており、両者の認識の相違が見られた。
企業の56%は今後も生成AI技術への投資を増やす予定であると回答し、この数値はアジア太平洋地域の平均の63%を下回る。消費者の40%は生成AIによって深刻なフェイクニュースを簡単に作成できることを懸念しており、39%は生成AIがフェイクニュースを増加させる恐れがあると回答した。
企業の49%は生成AIで誤った情報が作成されたことがあると回答し、39%が生成AIで作成された情報には著作権や知的財産権を侵害する内容が含まれたことがあると回答した。消費者の46%が生成AIによる誤情報の作成を経験しており、そのうち52%が情報の誤りに気づいた理由は情報が正しくないことでその誤りに気が付き、48%が最新の情報ではないことでその誤りに気が付いたという。