Microsoftは5月20日(現地時間)、「Copilot」をはじめとするAIの利用に最適化されたWindows PCの新しいカテゴリーとして「Copilot+ PC」を発表した。これに合わせて、パートナーのPCメーカー各社からは、Copilot+ PC対応の新しいWindows PCを6月18日より販売開始することが発表された。Microsoftは、米QualcommのSnapdragon X PlusおよびEliteを搭載する新型の「Surface Pro」と「Surface Laptop」を発売する。

  • Copilot+ PC

    Copilot+ PC

Appleの15インチMacBook Airを上回る性能

Copilot+ PCでは、AI機能を快適に使うための一定の基準を満たすことが要求される。具体的には、40 TOPS(1 TOPSは、1秒あたり1兆回の演算)以上の演算能力を持つ高性能NPU(ニューラル プロセッシング ユニット)、終日の使用に耐えるバッテリー寿命、16GB以上のメモリー、256GB以上のSSDストレージなどを備えることが挙げられている。

MicrosoftではCopilot+ PCの実現に向けて、CPUとGPU、そしてNPUの能力を統合するまったく新しいシステム アーキテクチャを導入し、クラウドプラットフォームであるAzure上で実行されている大規模言語モデル (LLM) と小規模言語モデル (SLM) との連携において、これまでにないレベルのパフォーマンスを達成したという。その性能は、マルチスレッド パフォーマンスでApple M3チップを搭載した15インチMacBook Airを最大58%上回るとMicrosoftは主張している。

Copilot+ PCでは、AIの実行を支える高性能NPUの存在が鍵になる。Surfaceをはじめとする今回発表された新型PCは、いずれもQualcomm製のSnapdragon X PlusまたはSnapdragon X Eliteが採用されている。Snapdragon X シリーズは45 TOPS以上の性能を持つNPUを備えており、Copilot+ PCの要件を十分に満たしている。Microsoftは今後、Intel製やAMD製のCopilot+ PCが登場する可能性もあることを匂わせている。

アプリの実行速度やセキュリティも強化

ハードウェアだけでなくソフトウェアも進化している。Microsoftは現在、最速のチップセットの上で動作するアプリの最適化に注力しており、TeamsやPowerPoint、Outlook、Word、Excel、OneDrive、OneNoteなどといったMicrosoft 365アプリがこれまでよりも高速に実行可能になっているという。

また、Google ChromeやSpotify、Zoom、WhatsApp、Blender、Affinity Suite、DaVinci Resolve、Slackなどの他のアプリも、ARM CPUでネイティブに実行され、優れたパフォーマンスを発揮しているとのこと。さらに、今年後半にはSlackなどの追加のアプリもARMネイティブで動作するバージョンがリリースされる予定となっている。

Copilot+ PCでは、セキュリティにも力を入れている。すべてのCopilot+ PCはMicrosoft Pluton Securityプロセッサを搭載しており、多数の新しいセキュリティ機能やアップデート、Windows 11向けのデフォルト設定が適用される。さらに、Windowsのパーソナライズされたプライバシー制御機能によってユーザーの個人情報を強力に保護すると、Microsoftは強調している。

Copilot+ PCの第1弾となるSurfaceシリーズは、キーボードを取り外してタブレットとしても使える「第11世代 Surface Pro(13インチ)」と、ノートPCの「第7世代 Surface Laptop(13.8インチ、および15インチ)」の2種類3機種。5月20日より予約が開始されており、6月18日より出荷される。