IBMは5月6日(米国時間)、「IBM’s Granite code model family is going open source - IBM Research」において、Graniteコードモデルファミリーをオープンソースソフトウェア(OSS)として公開すると発表した。IBM Graniteコードモデルの4つのバリエーションがオープンソースとして公開される。
ソフトウェア開発プロセスに革命をもたらす大規模言語モデル(LLM)
現在のソフトウェア開発プロセスには大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)を活用した開発支援機能が統合されるケースが増えている。プログラマーは生成AIの支援を得てコーディングの効率を大幅に向上している。
ソフトウェアは現代社会のあらゆる側面に織り込まれているが、依然として信頼性の高いソフトウェアの開発、テスト、デバッグ、リリースといった作業は複雑なままであり、熟練した開発者でさえもヒントやショートカットを探して対応する必要がある状況が続いている。
LLMはこうした状況を改善する可能性を秘めており、すでに導入された場所で劇的な効果を上げている。もはや、LLMはソフトウェア開発において欠かせない存在になっている。
Graniteをオープンソース化する理由
生成AIの活用は急速に進んでいるが、企業における採用はコンシューマーにおける普及と比較すると遅れている。IBMはこの理由として次の要因を挙げている。
- モデルのトレーニングと実行に計算コストがかかる。企業にとって大規模なモデルはより具体的なタスクでは扱いにくく、無関係な情報で満たされ、推論コストが高くなる可能性がある
- モデルのライセンスが明瞭なことが多い
- モデルのトレーニングがどのように行われたかが不明瞭なことが多い
- 憎悪、虐待、冒涜的な表現などについてデータがどのようにクリーニングおよびフィルタリングされたかが不明性なことが多い
IBMは、高性能でコスト効率の高いLLMであるGraniteをオープンソースとして公開することで、ソフトウェアの生成AIの展望を変革できると説明している。多くのユースケースで制限なく利用できる言語モデルがオープンコミュニティにおいてイノベーションを起こせるようになると説明している。
IBMのこの動きに関連し、IBMとRed Hatは「InstructLab」と呼ばれるプロジェクトを発表した。これはGranite言語モデルを含む成果物およびプロジェクトで、ユーザーが簡単に言語モデルの利用や貢献をできるようにしたもので、IBMがGraniteをオープンソース化した理由を実現させる取り組みにとなっている。
Red HatはInstructLabを取り組んだプラットフォーム「Red Hat Enterprie Linux AI (RHEL AI)」を発表しており、より簡単にGranite言語モデルを使った取り組みができる環境を提供するという(参考「生成AI開発のプラットフォーム「RHEL AI」、Red Hatが発表 | TECH+(テックプラス)」)。