PagerDutyは4月17日、同社が独自で開発している運用特化型のAIテクノロジー「PagerDuty Copilot」に関する説明会を開催した。「PagerDuty Copilot」は2023年12月に発表された。
システム運用の課題解決に向け、新しいアプローチが必要
グローバルフィールドCTOを務めるヒース・ニューバーン氏は、「システムの中断は重大なリスクにつながる。現在、複雑性のないシステムはもう存在しない。これまでの運用の手法は通用しないので、アプローチを考え直す必要がある」と、現在のシステム運用における課題を指摘した。
具体的には、現在のシステムには「重要なインシデント解決に時間がかかる上、再発する」「停止により収益と顧客体験に影響が及ぶリスクが高い」「複雑化と技術的負債」という課題があるという。
「こうした課題によって生じるリスクを軽減できるのが当社のソリューション」と、ニューバーン氏は述べた。
「PagerDuty Operations Cloud」の強みとは
PagerDutyは、運用管理統合プラットフォーム「PagerDuty Operations Cloud」をベースとして、インシデント管理、DevOps最適化、AIによる自動化、プロセス自動化、カスタマーサービスの業務効率化のためのソリューションを提供している。
ニューバーン氏は、「PagerDuty Operations Cloud」について、「AIや機械学習によって構築しており、基盤となるデータモデルと700以上のソフトを連携している。この連携を生かしてトラブルに対応できる。オペレーションリスクを抑え、より早くインシデントに対応することに役に立ちたい」と説明した。
PagerDutyのソリューションのラインアップを見ると、ServiceNowのソリューションと似ているような印象を受ける。ニューバーン氏に、競合について聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。
「ServiceNowやBMCと競合と思われているが、柔軟性やDevOpsにおいてわれわれのほうがすぐれており、一歩抜けることができたと考えている。伝統的なインシデント管理では通知に重きを置いていたが、われわれはイベントドリブンなアプローチを強みとしている。なお、大事なことだが、ServiceNowは当社のパートナーでもある」
「PagerDuty Copilot」の主要機能
さらに、ニューバーン氏は、「今、オペレーションをどうすべきかを考える時が来ているが、PagerDuty Copilotが新しい時代の運用をサポートする」と述べた。
「PagerDuty Copilot」はPagerDuty Operations Cloudの自動化支援機能のセットで、2023年12月に発表された。現在はベータ版として、アーリーアダプターが利用しているという。その主要機能は以下の通りだ。
- 生成AIアシスタント
- 生成AIを組み込んだステータスアップデート機能
- 生成AIによるポストモーテム(事後検証)の作成
- 生成AIによるランブック(手順書)の生成
- 生成AIによるAutomation Digest
生成AIアシスタントでは、チャットボットによりイベント発生から解決までの重要なコンテキストの取得が可能。一般的な診断を行うだけでなく、課題を解決するため、次にとるべきアクションを提供する。
ニューバーン氏は、生成AIによってステータスアップデートが自動で行われるとして、「インシデント対応チームは1クリックでステータスを確認できるため、ステータスアップデートに忙殺されることがなくなり、本質的な解決に注力できる」と語った。
ポストモーテムとはインシデントについてまとめた文書を指すが、ニューバーン氏は「これまで自動化とイベントドリブンな機能にフォーカスしてきたので、ポストモーテムは得意ではなかった」と語った。
Jeliの買収により、1クリックでポストモーテムを生成できる機能が提供できるようになったという。
ニューバーン氏は「次のステップは自動化を簡単にすること」と述べ、インシデントを収拾する時にどんな自動化があればよかったかなど、ランブックが解決策を提示し、学習と問題解決を迅速にするという。
さらに、Automation Digestにより、人間が読めるように要約されたシステムデータを集約することで、「経営者がインシデントについて理解できるようにする」とニューバーン氏は述べた。