欧米で巨大テック企業に対する規制の動きが強まる中、米Appleは4月5日(現地時間)、「App Reviewガイドライン」をアップデートし、アプリが提供可能なソフトウェアのリストに「レトロゲーム機のエミュレータアプリからのゲーム」を追加した。また、アプリが提供できるミニアプリおよびミニゲームはHTML5に限られることを明記した。App Reviewガイドラインは、App Storeを利用するアプリの品質を確保し、ユーザーに安全かつ信頼できる体験を提供することを目的とした、技術・内容・デザインに関する審査基準を定めたものである。
AppleはApp Storeで配信されるアプリで外部ソースからのコード実行に厳しい制限を設けてきたが、2024年4月5日版のガイドラインでは、「certain software that is not embedded in the binary(バイナリに埋め込まれていない特定のソフトウェア)」に加えて、レトロゲーム機のエミュレータアプリ(retro game console emulator apps)によるゲームのダウンロード提供が許可された。
ゲームのエミュレータの使用は、利用者の国・地域の法律、エミュレータを使用する目的、そしてエミュレートされるゲームのコピーをどのように入手したかによって合法性が異なる。多くの場合、エミュレータを使用すること自体は合法である。そして、自身が所有しているゲームのバックアップ作成および使用は、多くの国・地域おいて合法または許容されている。一方、非公式コピーまたはインターネット上で不正に共有されるROMのダウンロードおよび使用は、ほとんどの場合において違法である。過去には、エミュレータアプリに関連する著作権侵害や悪意のあるプログラムの実行例が多数存在する。しかし、コンソールゲームの歴史も長くなるにつれ、ゲームコンソールメーカーがエミュレータを用いてクラシックゲームを提供するようになり、またパブリックドメインや配布が許可されているROMも存在するため、エミュレータアプリの承認を求める声が高まっていた。
Appleはアプリ内で提供される全てのソフトウェアについて、「本ガイドラインおよび適用されるすべての法令に準拠していることを確認することを含め、(デベロッパが)責任を負う」としている。ガイドラインのいずれかの項目に準拠していないソフトウェアが存在する場合、アプリが拒否される可能性がある。
3月に反トラスト法違反の疑いでAppleを提訴した米司法省は、Appleがスーパーアプリ内で様々なミニアプリが機能することを制限し、その成長を妨げていると指摘した。スーパーアプリは、「バイナリに埋め込まれていない特定のソフトウェア」としてミニゲームやミニアプリを提供できるが、2024年4月5日版のガイドラインで、「具体的には、HTML5ミニアプリやミニゲーム」というように明確化された。