日本IBMは3月29日、「オープン・ソーシング戦略フレームワーク」の中核ソリューション「金融サービス向けデジタルサービスプラットフォーム(IBM Digital Services Platform for Financial Services、DSP)」を通じて、生成AIを短期間に導入できる「DSP生成AI拡張機能」を開発したことを発表した。
これにより、金融機関は生成AI導入による業務の高度化・自動化・省力化などのビジネス効果を早期に享受できるほか、セキュリティや通信記録管理などで想定されるリスクへの対応に役立つ機能を追加することもでき、サービス提供開始は2024年5月末を予定。
生成AIは、金融業界においても生産性向上やビジネス成長の原動力としての期待が高まっているが、効果検証が難しいこと、データやシステムのセキュリティ対応や、複数の生成AIの活用状況のモニタリングの難しさなどが全社的な生成AI導入を進める上での障壁となっていたという。
そこで、同社は、安全・統制された環境下で生成AIを活用するためのソリューションを、DSP生成AI拡張機能として開発。「Generative AI Applications」「Generative AI Gateway」「Generative AI Foundations」の3つで構成している。
Generative AI Applications、金融機関の通常の各業務を効率化する複数のアプリケーションを利用できる。初期のラインアップとして「融資稟議書作成」「営業トークスクリプト作成」「営業日報作成」の支援や、業界共通で使える「AIチャット」や「文書Q&A」の提供を予定。今後も継続的に業務ライアップを拡大していく。
Generative AI Gatewayは、生成AIの活用状況のモニタリングや制御を一元化するため、watsonx.ai(Granite日本語版など)、Microsoft Azure OpenAI Service(GPT-4など)やAmazon Bedrock(Claude 3など)をはじめとする主要な生成AIへの接続を集約するゲートウェイと管理ダッシュボードを提供。今後、watsonx.governanceや他社製製品との連携など、生成AIの品質管理や生成AIを対象とする新たな攻撃手法に対応を予定している。
Generative AI Foundationsは、生成AIを安全な環境で利用するため、エンドツーエンドでのプライベートなネットワーク接続を含むインフラ環境一式を最短1日で構築する機能を提供。また、顧客が開発した生成AIアプリケーションのアジャイル開発をサポートするDevSecOpsパイプラインもオプションで提供する。
新機能は企業が利用中のAzure、AWS、さらに今後はIBM Cloudでの稼働が可能になるため、各企業の環境に柔軟に対応することを可能としている。
また、すでにDSPを利用している金融機関様向けにはマネージドサービスとして提供され、金融APIとのシームレスな連携により、コストパフォーマンスの向上を実現する。さらに、DSPを使っていない金融機関も同機能の3つの要素から、必要なものを利用することができるという。