GMOリサーチは3月22日、AIトレンドに関する自主調査の結果を発表した。これによると、生成AIの利用経験者が3か月で2倍に増加したものの日常的な利用には課題が残るといい、使いやすさと精度・信頼性の向上が重要だと指摘している。
生成AI「使ったことがある」人が3カ月で倍増
同調査は同社が2月20日~3月5日にかけて、同社が保有する国内モニター・パネルである「JAPAN Cloud Panel」の15歳以上の男女モニター1107人を対象に実施したもの。 同様の調査は2023年11月に初めて実施し、今回が2回目とのこと。
生成AIの認知状況をみると、「知っている人」(非常によく知っている・ある程度知っている・少し知っている)は計71.1%で、2023年11月に実施した前回調査と比べて7.5ポイント増加した。
利用状況では、「使ったことがある人」(日常的に使っている・ときどき使っている・ほぼ使わない)は計33.5%と前回調査から16.9ポイント増加し、約2倍になった。
使ったことがある人に利用頻度を聞くと、半数以上(全体の18.4%)が「ほぼ使わない」と回答しており、使ってみたものの活用できていない人の方が多いと同社は見ている。
パート・アルバイトを除く有職者に生成AIを業務で利用する場合に重視するポイントを尋ねたところ、「使いやすさ」が45.6%と最多であり、「精度と信頼性」が37.2%で続く。使いこなす難易度や仕事で使えるクオリティでアウトプットが得られるのかという点を重視していると、同社は分析する。
また、「コスト」(19.4%)や「セキュリティとプライバシー」(19.2%)を挙げる回答者も多い。セキュリティとプライバシーについては、生成AIに企業の重要情報をインプットし、情報漏洩してしまう事例や、生成AIの学習で使用する文章や音楽、イラストなどの著作権問題などのネガティブな話題が、人々の印象に深く残っていると、同社は見る。
これらのポイントは生成AIの業務利用の促進において障害になる要素でもあるといい、改善・解決により生成AIの利用経験や頻度の増加につながると、同社は推測している。
定期的に利用している生成AIツールは?
生成AIを「日常的に使っている」または「ときどき使っている」という回答者に、定期的に利用している生成AIツールを効くと、ChatGPT(OpenAI)が48.4%で最も多く、以下、Microsoft Copilot Studio(Microsoft)(21.6%)、Microsoft Copilot(旧Bingチャット、Microsoft)(19.0%)、Gemini(旧Bard、Google)(15.7%)、Google Generative AI App Builder(Google)(13.7%)が続く。
また、自社の生成AIを構築するための法人向けツールであるMicrosoft Copilot StudioとGoogle Generative AI App Builderの回答割合が他と比較して多いことから、企業での生成AIの導入が進んでいること、また既製生成AIツールの利用に留まらず、その技術を組み込んだ開発に取り組んでいることが伺えるという。
調査結果を受けて同社は、「2023年11月から3か月間で、日本国内における生成AIツールの認知、利用は広がっていることが明らかになりました。しかし、利用してみたものの、その半数以上が活用できていないという課題も見えました。業務利用で重視するポイントとして『使いやすさ』『精度・信頼性』『コスト』『セキュリティとプライバシー』を重視する人が多く、これらは業務利用の障壁となりやすい部分とも言えます。このようなポイントが改善・解決されることにより、生成AI利用の定着が期待できると考えられます」とコメントしている。