リコーは3月15日、機器の保守サポート業務におけるプロセスDX(デジタルトランスフォーメーション)について、独自のLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)などを活用して業務効率化と機器のダウンタイム最小化を目指す取り組みを開始することを発表した。
情報検索型AIボットの運用開始
リコージャパンでは、カスタマーエンジニア(以下、CE)とテクニカルサポートエンジニア(以下、TSE)が効率的に連携するために、CEからの問い合わせ手段を電話からMicrosoft TeamsやMicrosoft Power Platformへと移行するという。現場のCEが問い合わせ内容をシステムに入力すると、情報検索型AIボットがマニュアルや過去の修復事例などを検索し、メンテナンス事例などを一次回答として現場CEに自動返信する仕組みを構築する。
TSEに代わって情報検索型AIボットが情報検索をサポートする仕組みにより、CEへの一次回答に要する時間を短縮するとともにTSEの業務負荷の低減を狙う。電話の折り返し対応やTSE間での情報共有といった付帯業務の煩雑さも解消し、効率的な対応を実現する。これにより、TSEはより難易度の高い障害の解決サポート業務に集中できる環境を作ったとのことだ。
情報検索型AIボットの運用開始
リコーは独自に開発したLLMにサービスマニュアルや修復事例などを学習させ、同社が行う保守サポート業務向けにカスタマイズした質問応答型AIチャットボット「保守ドメイン適応モデル」を開発して検証を開始した。
業種や業務ごとに使用されている専門用語など、ビジネスドメイン固有の表現や語彙に適応するためのドメイン適応技術(DAPT:Domain-Adaptive Pretraining)を活用し、製品の特徴や保守用語の知識を獲得しているという。例えば、「ジャム」を食べ物ではなく紙詰まりと認識するなど、CEからの問合せ内容に適切に対応して回答を自動で生成可能とのことだ。