3月13日、大手企業の春季労使交渉の集中回答日を迎え、発表が相次いだ。当初の予想通り、満額回答が続き、高水準だった23年の回答を上回った。本稿では、大手ITベンダーの回答状況をまとめて紹介しよう。

日立製作所

小誌では、2月15日、日立製作所の労働組合が2024年春季労使交渉(春季交渉)での要求を会社側に提出した時の模様をお届けした。

同社労働組合はその際、賃上げ率5.5%のベア1万3000円を要求したが、満額回答となった((平均昇給額は18,095円)。

賞与は2,104,000 円(6.4 カ月)の要求に対し、2,028,079円(6.17 カ月)の回答となった。

同社の初任給は大卒が250,000 円(18,000 円の引上げ)、高卒が187,000 円(9,000 円の引上げ)となっている。

  • 2024年春季労使交渉 要求書提出の様子

パナソニック/パナソニック ホールディングス

パナソニックとパナソニックホールディングスも組合要求の賃金水準引上げ(ベースアップ)の改善額 13,000 円に対し満額回答した。

パナソニック ホールディングスは、企画・開発・設計職基幹労働者30歳の個別賃金水準(345,000 円)について、13,000 円(3.77%)の改善を図る。組合員平均昇給率はベースアップのみで 3.43%、定昇見合い込みの平均昇給率は5.50%となり、個人業績の反映により、最大で10%以上となる見込みとのこと。管理職も5%程度の賃上げが予定されている。

初任給は、高校卒188,000 円と大学卒 250,000 円のみ同じ。その他のパナソニック ホールディングスの初任給は短大卒198,500円、高専卒 216,000円、大学院卒 277,000円。その他のパナソニックの初任給は短大卒200,000円、高専卒220,000円、大学院卒275,000円。

パナソニック インダストリー

パナソニックグループでデバイス領域を担当するパナソニック インダストリーの賃金は(労働組合の要求に対し満額回答で、30 歳開発・設計職基幹労働者の個別賃金水準について、13,000 円の改善を図る。

初任給は、高校卒190,000円、短大卒206,000円、高専卒222,000円、大学卒250,000円、大学院卒278,000円へ引き上げる。

パナソニック コネクト

パナソニックグループでB2B ソリューションの中核を担うパナソニック コネクトは、賃金について、労働組合の要求に対して満額回答の昇給原資5%とする。

初任給は、高校卒199,000円(11,000 円引上げ)、短大卒209,000円(12,000 円引上げ)、高専卒232,000 円(15,000円引上げ)、大学卒270,000 円(20,000円引上げ)とする。

パナソニック エナジー

パナソニックグループで電池を事業領域を担うパナソニック エナジー賃金の春季交渉に対し、満額回答の13,000 円の賃金水準引き上げ(ベースアップ)を行う。、対前年で平均約 5%の賃金水準で改善するとしている。

初任給は高校卒190,000 円 、高専卒222,000 円、大学卒252,000 円 、大学院卒278,000 円へ水準を引き上げる。

パナソニック インフォメーションシステムズ

パナソニック インフォメーションシステムズは、春季交渉の結果、過去最高水準の賃金引き上げとして、ベースアップを1万3000円増額する。これは組合員平均6%のアップに相当する。

初任給は、大学卒265,000円(1万5000円アップ) 、大学院卒285,000円(5000円)へ水準を引き上げる。なお、大学院卒は2年34000円引き上げられる。

富士通

富士通も組合の要求に対し満額回答とした。具体的には、組合モデルの要求ポイントとなる研究開発に従事するリーダークラス(30歳相当)の現行賃金水準400,700円について、満額となる13,000円の賃金水準改善額を回答した。

同社は2023年4月に、グローバル企業のベンチマーク結果に基づき、国内における全ての職層の社員を対象に報酬制度を見直し、月額賃金を平均10%、最大29%引き上げた。

NEC

NECも労働組合の要求に対し満額回答で、賃金水準4.3%の加算とする。4.3%は現行水準に対して月額13,000円の加算に相当する。

フェアな評価に基づく報酬を徹底するという観点から、組合員における基本昇給と賃金水準改善を合わせた賃上げ率は、各社員の評価に応じて0%~11.7%の範囲で幅を持たせるとしている。

大卒の初任給は280,000円、修士了の初任給は299,400円と、いずれも要求を上回る回答となった。