ジュニパーネットワークスは3月1日、東京都中央区の東京支社で事業戦略説明会を開催した。説明会では、同社 代表取締役社長の古屋知弘氏と、同 副社長 エンタープライズビジネス統括本部長 兼 技術統括本部長の上田昌広氏がプレゼンテーションを行った。
ジュニパーが目指すエンタープライズネットワーク
まず、古屋氏は開口一番に「われわれが目指すエンタープライズネットワークは『AIネイティブネットワーキングプラットフォーム』だ。これは、AIの力でITインフラに革命を起こすことを意味する」と強調した。
2023年度の売上高は55億6500万ドル、売上比率はエンタープライズが46%で成長率は27%、すべての地域で売り上げ増加した。また、AI Driven Enterpriseの成長率は36%、ソフトウェアビジネスも23%の成長率となっている。
同社がAIネイティブネットワークキングプラットフォームを提供する契機になったのは、2019年に買収したMist Systemsまでさかのぼる。機械学習による解析などを特徴とするクラウド型の無線LAN管理サービスを提供していたMist Systemsを、2019年にジュニパーが買収し、自社のソリューションとした。
古屋氏は「2024年における国内のエンプラビジネスのフォーカスは、エンタープライズITにおけるAIOpsの浸透を図り、キャンパス・ブランチからWAN(Wide Area Network)、データセンター(DC)に領域を広げ、パートナーとともに国内主要企業への拡販を図る。また、国内市場において特に大手製造業、多店舗展開企業(リテール、流通、不動産など)、学術公共に対してさらなる市場の拡大に取り組む」と力を込めた。
具体的には、MistのAIエンジン「Marvis」をコアに置き、AIネイティブな環境でデジタルツインを実現し、DCを含めたエッジからクラウドまでの運用を担保する考えだ。なお、Marvisはネットワーク管理者を支援するVNA(仮想ネットワークアシスタント)となる。
ITインフラに革命を起こす4つの施策
これらの実現に向けて、古屋氏が言及しているAIネイティブネットワーキングプラットフォームに加え、「Marvis Mini」「データセンター向けMarvis」「AIデータセンター」の4つの施策を進めていくと上田氏は話す。
AIネイティブネットワーキングプラットフォームは、ネットワークソリューションを共通のAIエンジンとVNA(仮想ネットワークアシスタント)「Marvis」で統合したソリューション。エンド・ツー・エンドのITオペレーションのためのAI(AIOps)を活用したインサイト、自動化されたトラブルシューティング、シームレスなネットワークを保証するというものだ。
Marvis Miniは、バージョンアップやコンフィグの変更時において、これまではベンダーやSIerなどが検証して切り替えることが大半だが、切り替え後に失敗して切り戻す必要があった。上田氏「ITインフラのスケジュールがストップしてしまうこともある。しかし、Marvis Miniはデジタルツインで検証ができるため時間・リスクの軽減が図れる。つまり、ITインフラでデジタルツインでプロアクティブな対応を実現するというもの」と説明する。
データセンター向けMarvisは、クライアントからクラウドへの可視性をデータセンター、キャンパス、ブランチに拡張するもので、インテントベースのネットワーク構築ソフトウェア「Juniper Apstra」との統合を検討し、DC AIOpsを進めていく。また、同社のスイッチだけでなく、マルチベンダー環境として他社のスイッチにも対応していく考えを示している。
AIデータセンターは800G対応の大容量スイッチ・ルータをもってして、データセンターのモダナイズ(近代化)に取り組む。イーサネットのAI/ML(機械学習)トラフィックを高速・効率的に処理し、大規模なイーサネットシステムによるコスト削減、AI JVD(ジュニパー検証済み設計)がシームレスな導入、品質、安定性を保証するとしている。