日立製作所(日立)は2月28日、2025年度の新卒採用計画および2024年度入社の経験者採用計画を策定したと発表した。デジタルを通じた成長加速に向け採用数を増やし、大学・大学院・高専卒業予定者730名、高校卒業予定者45名、経験者670名の合計1,445名を採用する。

  • 日立、2025年度の新卒採用計画および2024年度入社の経験者採用計画を策定したと発表

    日立、2025年度の新卒採用計画および2024年度入社の経験者採用計画を策定したと発表

新卒採用における「パーソナライズ採用」の深化

日立は採用活動において、個々のキャリアニーズとジョブのマッチングを重視した「パーソナライズ採用」を推進している。新卒採用では、社員自らが各ジョブの魅力を伝える「ジョブリクルータ」制度推進やリファーラル採用など個別採用活動を強化し、候補者とのコミュニケーションを通じたジョブの理解を促進してきた。

その中心的な取り組みとして2020年度から継続している「ジョブ型インターンシップ」は、2022年6月の三省合意改正を踏まえ、内容を拡充してきた。2023年度の参加者数は、前年比330名増の930名となり、今後、ジョブ型インターンシップを通じてジョブへの理解を深めた候補者からの採用エントリー増加を目指すという。

同計画ではさらなるマッチング精度の向上に向け、事務系職種に「職種別コース」に加え、よりジョブの内容を特定してエントリー可能な「ポジション別コース」を試行導入する。これらを通じて「パーソナライズ採用」のさらなる深化を図るとともに、人財とジョブのマッチングによる適所適財の実現に取り組む構えだ。

「アルムナイ(退職者)ネットワーク」の拡充

日立は退職者が再び日立で働く選択肢の拡充や、採用チャネルの強化に向け、2023年3月に「アルムナイネットワーク」を設立。このネットワークを通じて、経営や事業動向、募集ポジションなどの情報提供を行っており、設立以降250名が登録し15名が日立に再入社したという。2024年3月からは新たに日立グループ8社がこのネットワークに加わり、登録者に対してより幅広いキャリアの選択肢を提供し、多様な人財の獲得をさらに推進するという。

「青田創り」の推進

また、少子高齢化による労働力人口の減少が見込まれる中、社会全体の生産性向上のためには、基づき生き生きと働く人財の育成に向け、産学官が組織の壁を越え連携して若年層のキャリア観醸成をサポートする必要がある。日立は政府の定める「就職・採用活動に関する要請」を遵守しつつ、高校生や高専生、大学1、2年生を対象に、他企業、教育機関、政府機関などと幅広く連携し、優秀な人財の獲得を競い合うのではなく社会全体で育成する「青田創り」を推進している。2023年度は2,100名に対し企業や業界の垣根を超えたキャリア観醸成イベントなどを開催した。

この計画では、社外との連携強化や参加者数の増加などを通じて推進の加速を図るという。若年層人財の育成を通じた社会課題解決の取り組みとして「やりたいこと」を見つける学生をサポートし、「キャリアを築くこと」の面白さややりがい、喜びなど伝える「青田創り」に引き続き貢献していく考えだ。

2023年度の「青田創り」活動実績は、企業・業界の垣根を越えたキャリア観醸成イベントの開催、大学等の教育機関と連携して開催する各種講座への講師派遣などのほか、企業の研究者・開発者が、伝道者として学生にものづくりの魅力を伝える対話型キャリア教育や、企業間連携により将来のリーダを育成支援するプログラムなどを行った。参加者数は2,100名(2024年1月末時点)で、開催実績校は大阪大学、大阪公立大学、金沢大学、熊本大学、長崎大学、早稲田大学、熊本高等専門学校、函館工業高等専門学校、大磯高等学校など。連携団体・企業はエッジソン・マネジメント協会、民間企業38社。

また、日立は「専門性」「リベラルアーツ」「ダイバーシティ(多様性)を受け容れるマインド」の3つの知識や素養を「求めるアビリティ」として開示し、ジョブ型人財マネジメントに基づく採用活動を行っている。

なお、2025年度採用人員計画は、新規採用が大学・大学院・高専卒が730名(2024年度は660名)、高校卒は45名(同35名)の計775名(同695名)、経験者採用が670名(同520名)で、日立製作所の合計では1,445名(同1,215名)。