富士通は2月22日、新たなコンサルティング事業ブランド「Uvance Wayfinders(ユーバンス ウェイファインダーズ)」を開始することを発表し、都内で記者説明会を開いた。同ブランドの下、「ビジネス・コンサルティング」と「テクノロジー・コンサルティング」の2分野で注力する計13のコンサルティング事業領域を策定。コンサルティングスキルを持つ人材を2025年度までに1万人規模へ拡充する。

  • 2分野で事業を推進

    2分野で事業を推進

富士通がコンサルティング事業を拡大する理由

富士通はパーパスとして「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」を定め、中期経営計画においては重点戦略として事業モデルポートフォリオの変革を進めてきた。同計画ではカスタマーサクセスを支援する領域において、コンサルティング事業を重要なドライバーと位置付けている。

富士通の執行役員でCRO(Chief Revenue Officer)を務める大西俊介氏は、コンサルティング事業の拡充に至った背景として、以下の3点を紹介した。まず1つ目は、各業界の産業構造が変化する中で、従来の業界の枠に捉われない新規ビジネスの創出支援だ。

2つ目はAIや量子コンピュータなどのテクノロジーが進化する中で、ビジネスモデルを考えるだけのアプローチではなく、先端的なテクノロジーのインパクトによって社会にもたらされる変化を想定し、持続可能な社会の発展に寄与する道筋を示すためである。

3つ目は、顧客の言うとおりにソリューションを作るのではなく、顧客の課題に向き合って共に価値を作り上げていく姿勢を強固にするためだ。急速な社会構造の変化に追従していくために、富士通自身がコンサルティングのケイパビリティを拡充して行動様式を変化させていくという。

  • 富士通 執行役員 SEVP CRO 兼 グローバルカスタマーサクセスビジネスグループ長 大西俊介氏

    富士通 執行役員 SEVP CRO 兼 グローバルカスタマーサクセスビジネスグループ長 大西俊介氏

コンサルティング人材を2025年に1万人規模まで拡充

Uvance Wayfindersでは、「ビジネス・コンサルティング」と「テクノロジー・コンサルティング」の両軸でコンサルティングおよびオファリングを提案する。ビジネス・コンサルティングでは社会を俯瞰する広い視野で解決すべき課題を捉え、PowerPointで作成した資料を提出して終わりではない、リアリティのある事業変革を支援するという。

一方のテクノロジー・コンサルティングは、同社が得意とするデータとテクノロジーを武器に、世界各地のR&D拠点などとも連携しながらオファリングの活用実践ノウハウを組み合わせて、ビジネスアジリティの向上を支援する。

大西氏はUvance Wayfindersの提供開始にあたって、富士通が発揮する2つの強みを挙げた。まずは、これまでにFujitsu Uvanceの提供を通じて培った、業種や業態にとらわれないクロスインダストリーでのコンサルティングアプローチ。もう1つは世界中のR&D施設が取り組む先端的なテクノロジー研究の成果。

Uvance Wayfindersはコンサルティングを展開する重点領域について、13のプラクティスを策定した。Wave1からWave3まで順次展開する予定で、現時点ではWave2となる。

  • 13の重点領域

    13の重点領域

同社は今後のコンサルティング人材拡充について、2025年度までに約1万人を目標としている。内訳は、ビジネス・コンサルティングが3000人、テクノロジー・コンサルティングが7000人だ。現状はそれぞれ600人と1400人程度だという。社内からのリスキルによって6000人、新たに採用して3000人、M&Aによって1000人を確保する予定。

  • 1万人規模の人材を確保する方針

    1万人規模の人材を確保する方針

大西氏は「社会を俯瞰する広い視野を持って、ビジネスとテクノロジーの2つの視点でまだ誰にも見えていない道筋を見出していく。課題に立ち向かう一歩を無謀な挑戦とするのではなく、確かな一歩につなげたい。多様な価値をつなぎ、社会やビジネスの課題から新たな可能性を創造していく」と抱負を語り、説明会を結んだ。