リクルートは2月21日、全国の人事担当者を対象に人材マネジメントをテーマとして実施したアンケート調査の結果を発表した。これによると、女性管理職割合が30%以上の企業は全体の1割弱に留まっており、6割以上の企業では10%未満だった。
同調査は同社が2023年3月29日~31日にかけて全国の人事担当者を対象としてインターネットにより実施したものであり、有効回答者数は5048人、うち集計対象は従業員規模30人以上の企業に勤める2761人。
従業員全体と課長相当職以上における女性の割合を尋ね、女性管理職・女性従業員のいずれも30%以上と回答した企業を見ると、女性管理職は規模が小さい企業の方がやや割合が高いものの、どの従業員規模でも約10%、女性従業員は約34%と、企業の規模による違いは見られなかった。
女性管理職の割合が0%との回答は従業員数が300人未満の企業で多く見られ、その割合は26.5%だった。
従業員規模に比例する女性管理職比率
ポジティブアクションの実施状況を女性管理職割合が30%以上の企業について見たところ、働きやすさに関して「子どもを持つ従業員に対して法定を上回る短時間勤務制度を整備している」に取り組んでいる企業が、30%未満の企業よりも多い。
働きがいについては、「女性管理職の割合目標を設定している」に取り組んでいる割合が高い。
従業員規模別では、すべての実施項目で1000人以上の企業での実施率が高く、多様な取り組みを通して職場での能力発揮や労働環境の改善に力を入れていると、同社は見る。
ダイバーシティ・マネジメントへの取り組み状況を見たところ、女性管理職割合が高い企業では「組織の人材多様性を高める必要があるため」「これまでのやり方では必要な人材を確保できないため」「従業員から、より高い成果を引き出すため」といった、人材活用の観点から実施するとの意向が見られる。
女性管理職の割合が30%未満の企業と30%以上の企業を比較すると、30%未満の企業の方が高かった項目は、「女性活躍推進法・次世代育成支援対策推進法といった法律の施行などの政府・官公庁の要望に対応するため」だった。
女性管理職割合が高い企業ではダイバーシティ・マネジメントに関する施策。を外部からの要請を満たすためにクエsryr、組織の多様性を高め、企業の競争力強化に資するものとして捉え、取り組みを推進していると、同社は分析する。
採用状況や離職率との関連性は?
採用状況に関して、人員数の観点で採用できていると回答した割合は、女性管理職が30%以上の企業では46.3%、同30%未満の企業では31.6%と、14.7ポイントの差があった。人材レベルの観点では、同30%以上の企業で37.5%、同30%未満の企業で 24.6%だった。
離職率について、全従業員の離職率が想定より高いと回答した企業の割合は女性管理職の比率で差は見られなかったが、若年層については女性管理職が30%以上の企業で42.1%、30%未満の企業で46.3%と、差が見られた。
若年層の転職が一般的になり、終身雇用のキャリア観とは異なる様相が見られる中で、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働く女性管理職の割合が低い状況を目の当たりにした若年層は、狭いキャリア・パスを敬遠し、離職してしまうのかもしれないと、同社は推測する。
調査結果を受けて、同社HR横断リサーチ推進部マネジャー/研究員の津田郁氏は、「女性管理職を増やしていくために必要な『働きがい』と『働きやすさ』を高める取り組みは、私たちの働き方や生活の在り方に深く関わるテーマばかりです。性別にかかわらず『働きがい』と『働きやすさ』を両立できる社会の実現に向けて私たち一人ひとりが当事者意識を持って考えていくべきではないでしょうか」とコメントしている。