TISインテックグループのネクスウェイは2月19日、富山県魚津市薬剤師会(以下、魚津市薬剤師会)と労働者健康安全機構 富山労災病院(以下、富山労災病院)が取り組む「魚津市薬薬連携」において、医薬品在庫状況の共有や医薬品融通を目的にアスヤクDIポータルの地域連携機能を活用した試験運用を2023年11月から2024年4月まで実施することを明らかにした。

  • 実証実験の概要図

    実証実験の概要図

アスヤクDIポータル

アスヤクDIポータルとは、DI(ドラッグインフォメーション)電子提供サービス。地域連携機能は地域の医療機関や薬局の検索、医薬品の在庫情報の閲覧と共有が可能。現状では、各薬局がExcelやCSVファイルでアップロードした医薬品の在庫情報をダウンロードでき、各薬局の在庫状況を閲覧できる仕組みだ。

これまで、地域の各薬局は不足医薬品の情報を専用フォーマットに記入し、富山労災病院に都度FAXを送信しており、その手間が問題となっていた。富山労災病院には各薬局から不定期に不足医薬品の情報が届いており、その薬局の不足医薬品が他薬局でも不足しているのか把握できていなかったという。

薬局間では不足医薬品の情報が共有されていなかったため、医薬品融通や患者紹介などの際には、近隣薬局数軒に電話で確認する手間がかかっていた。不足医薬品の情報共有や医薬品融通がスムーズに対応できていないため、患者の待ち時間が増加していたという。

試験運用の概要

今回の試験運用では、魚津市薬剤師会20薬局のうち賛同した12薬局が参加予定。各薬局は月に1回程度開催される薬薬連携会議でリスト化された不足医薬品の在庫状況をアスヤクDIポータルにアップロードする。このデータを地域内の各薬局および富山労災病院が確認し合う。

これにより、各薬局は自薬局で用意できない医薬品の処方箋を受けた際に、近隣薬局の在庫状況を確認し問い合わせられるようになるため、医薬品融通や患者紹介がスムーズになると期待できる。

富山労災病院の薬剤部や医師などは近隣薬局の医薬品の在庫状況を把握した上で処方できるほか、処方した医薬品がある薬局を確認してから患者に案内可能となる。医薬品供給が不安定な中だとしても、地域の薬局および病院の情報共有により、医薬品を必要とする患者に安定的に提供できるとしている。