三菱電機は2月8日、再生可能エネルギー(再エネ)電力の複数拠点間での自己託送や蓄電システムの最適な運用により、拠点ごとの脱炭素化目標の達成を支援する独自のクラウドサービス型ソリューション「マルチリージョンEMS(エネルギーマネジメントシステム)」を用いて、異なる3つの電力エリアの4拠点をつなぐ大規模な社内実証を2024年3月から2年間の予定で行うことを発表した。

  • 社内実証拠点と「マルチリージョンEMS」のシステム構成

    社内実証拠点と「マルチリージョンEMS」のシステム構成

実証の概要

同社は今回、四国電力エリアにある受配電システム製作所(香川県丸亀市)と、関西電力エリアにある系統変電システム製作所 赤穂工場(兵庫県赤穂市)、電力システム製作所(同県神戸市)および中国電力エリアにある福山製作所(広島県福山市)の4拠点で実証を行う。

内容としては、電力取引と需給制御を総合的に扱う電力市場向けパッケージ型ソフトウエア製品のシリーズ「BLEnDer DEP」を活用することでリアルタイムで連携することで、デジタルツイン上で「マルチリージョンEMS」の社内実証を行うという。

拠点ごとに異なる再エネ導入量・目標再エネ比率に対して、電力エリアが異なる拠点間での再エネ自己託送に必要な技術(再エネ予測、需給計画、電力取引、蓄電システム運用)の性能評価を実施する。

加えて、受配電システム製作所には太陽光発電設備や蓄電設備を増設し、赤穂工場との間で実設備を用いたエリア間の再エネ自己託送運用業務の検証を通じて運用実績を蓄積していくとともに、実運用での課題に対するさらなるソリューション拡張に向けた技術・機能の高度化を図るという。

同社は、今回の社内実証で得られる成果を活用し、エネルギー&ファシリティソリューションとしてさまざまな企業に提供することで、カーボンニュートラルの実現に貢献していく方針。