NTTデータは1月26日、これから先の社会と企業が進むべき未来を考えるイベント「NTT DATA Foresight Day 2024」を開催し、生成AI(人口知能)や、サステナビリティといったさまざまなテーマで講演を行った。本稿では、同イベントで展示されていたNTTデータの最新のテクノロジーを紹介する。
生成AIと3Dアバターを活用したデジタルヒューマン
まず筆者の目に飛び込んできたのが、液晶パネルに映し出された等身大のデジタルヒューマン。生成AIと3Dアバターを融合させたテクノロジーだ。
双方向で高度な対話ができるアバターを実現し、対人サービスの省人化・高度化を目指す技術だという。音声やチャット形式で、質問したり話しかけたりすると、身振り手振りを付けて音声で回答してくれる。
人間とは異なり24時間365日対応できるため、人員配置がコスト的に難しい業務もこなせる。また、NTTが開発した日本語に特化した独自の大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi(ツヅミ)」との連携により、特定の業務に特化した専門的回答もできるとのこと。
観光やホテルなど各種受付業務に加えて、EC販売のアシスタントや不動産案内といった専門的なユースケースも考えられる。特定業務を学習させVR(拡張現実)と連携することで、デジタル空間の従業員が対応できる。また、営業研修など高度なロールプレイングにも活用できるとのことだ。
NTTデータは、顧客企業とともにユースケースを共創し、PoC(概念実証)を低コストで実施するための環境を整えているという。日本において、労働人口の減少は差し迫った社会課題だ。デジタルヒューマンは、人手では非採算となる業務や長時間労働にも対応できる存在として、社会的ニーズが高まっているようだ。
生成AIが個性を可視化、ニックネームも生成
「あなたの知らない、あなたのいいところ」--。このコピーとともに展示されていたのは、同じく生成AI関連の技術だった。カメラ映像から個性を分析し、似顔絵とニックネームを生成してくれるというものだった。
カメラに向かって30秒ほど自己紹介すると、クロスモーダルAIが表情や声、発話内容を統合的に分析し、即興で個性とニックネームを生成してくれた。NTT研究所が開発したクロスモーダルAIと先述のtsuzumiが連携していたため、流ちょうな日本語が出力されていた 。
同技術はまだ検証段階だが、今後は、顧客の個性分析に基づく営業支援やメンタルヘルスの定点観測による従業員ウェルビーイングの向上といった活用を目指しているとのことだ。
顔の映像からウェルビーイング度を判定
また、顔の映像から心拍数やストレスサインなどを測定し、心身がどの程度生き生きしているかといったウェルビーイングの度合いを数値で可視化する技術「Face.ing」も展示されていた。
バイタルセンサなどは装着せず、カメラに向かって30秒静止するだけで手軽に測定できた。
同サービスはすでに提供開始しているもので、NTTデータは、職場環境の改善や企業の健康データ利活用ビジネスなどさまざななユースケースへの展開を目指している。