富士通とオランダのDelft University of Technology(以下、デルフト工科大学)は1月25日、量子技術を基盤とする先端コンピューティング技術の発展に向けた産学連携拠点として「Fujitsu Advanced Computing Lab Delft」をデルフト工科大学に設立し、両者の連携を強化していくことに合意したと発表した。

  • デルフト工科大学(QuTech) 応用科学学部

    デルフト工科大学(QuTech) 応用科学学部

主な研究内容

同施設での主な研究内容は、ダイヤモンドスピン量子ビットを利用した量子コンピューティングの基礎研究と開発、および、量子コンピューティング技術の流体力学分野への応用に関する研究だ。

前者では安定性と光接続性を兼ね備えたダイヤモンドスピン量子ビットを用て、高いスケーラビリティをもたらすモジュール型量子コンピューティングのブループリントを構築。特に、少数のダイヤモンドスピン量子ビットを用いた量子アルゴリズム動作実証や、オンチップ化に必要なデバイスや集積プロセス技術の確立を通じて方式の有効性を示す。

一方の後者は、数値流体力学を可能とするアプリケーションを開発してさまざまな条件下での流体力学シミュレーション向けの量子アルゴリズムを構築。モビリティ分野における空力設計などの実問題を用いた実証実験を通じて有効性を示していく。

計算が大規模かつ複雑な流体計算の分野に量子のアプローチを適用することで、将来的には、誤り耐性量子計算(FTQC:Fault-Tolerant Quantum Computation)向けに、実問題の解決に必要とされる広い空間領域に対して粒子の動きを高精度に予測可能な流体シミュレーション技術を目指すとのことだ。

  • 研究内容のイメージ

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