リクルートは1月23日、同社が実施した「兼業・副業に関する動向調査 2022」の追加分析結果を発表した。これによると、副業の満足度が高い人は、本業に副業の経験を還元できており、適切なアドバイスを提供してくれる支援者がいる傾向にあるという。
同調査は同社が兼業・副業に関する動向について、全国の働く個人および企業の人事担当者を対象とし2023年1月21日~22日にかけて実施したもの。有効回答者数は、個人が2027人、人事担当者が1648人。
副業の実施状況
全体の副業実施率は9.9%で、過去3年間はほぼ横ばいで推移しているという。また、副業を実施したことがない人の詳細を見ると、過去に副業の経験は無いが実施意向がある人が全体の41.1%を占めている。副業に対する興味や関心が高まっている一方で、まだ具体的な一歩を踏み出せていない人が多いことを示していると同社は見る。
実際に副業を認める制度が自社にあると回答した人事担当者は51.8%であり、過去3年間で見ると年々増加の傾向にあるとのこと。
副業実施者の特徴「本業の満足度が高くキャリア自律している」
副業する理由を見たところ、金銭面での目的以外では「主たる職業の仕事では得られないような知識や経験を獲得するため」「兼業・副業での経験を主たる職業の仕事に活用するため」が多い。本業に良い影響を持ち帰りたいという背景が副業実施者にはあると、同社は見ている。
副業経験と本業の満足度の関係では、副業実施者の方が本業への満足度が高い。本業と副業は対立するものではなく、副業の経験を本業の仕事に活用できており、本業・副業それぞれの経験が互いに好影響を与えていると、同社は分析する。
副業経験の有無とキャリアへの考え方の関係を見たところ、いずれの選択肢でも副業経験者の比率が未経験者よりも高い。
キャリア自律のために企業ができること
キャリア自律ができていると思う回答者があてはまると考えている職場の特徴では、「業務の割り当ては、自身の能力開発が加味されたものである」や「生活や将来のことを腹を割って話せる職場である」で大きな差が見られた。
職場での対話を通し自らのキャリアを明確にしていくプロセスがキャリア自律を育み、その意向を考慮した業務の割り当てといった工夫が企業には求められており、そういった取り組みが個人のキャリアへの関心を高めることにつながると、同社は指摘する。
副業実施経験がある人の満足度別分析
満足群の副業実施による効果を見ると、「時間を意識しながらより効率よく仕事を進められるようになった」「本業からの収入に追加して副収入が得られた」「新しい知識やスキルを獲得できた」が上位に並ぶ。
副業は単に収入を増やすだけでなく、自身の時間管理能力を向上させて本業への視点を新たにするなど、自身のスキル向上に加えて本業への還元でも利点があると同社は見る。
副業により本業では機会が無い経験を得ることで、新しい視点や柔軟な発想を得て本業に生かすことができている、好循環になっている人が多いという。
人事担当者への調査結果では、従業員が副業により得た経験を本業に還元できていると感じている人事担当者が半数を超える。副業で得た経験が本業への還元につながっていると、副業実施者・送り出し企業の双方が感じている傾向にあると同社は見ている。
副業の満足度別に、悩みを聞いてくれたり適切なアドバイスやサポートを提供してくれたりするような支援者がいるかを見ると、不満を感じている回答者で支援者がいる人は37.2%だったのに対して、満足している回答者では73.5%だった。
副業には、慣れない環境での業務や時間管理など多様な課題があり、支援者がいると結果的に満足度を高められる傾向にあるという。
副業経験がある人の中には満足度が低い人もおり、その主な原因として挙げられるのが時間管理の難しさとのこと。副業と本業の両立には効率的な時間管理が必要だが、それが難しいと感じる人が多いようだと同社は見る。
これらの課題の解決には、企業が積極的に環境整備をしていくことが大切であり、受け入れ企業も送り出し企業も、副業実施者が働きやすい環境を提供することが求められていると、同社は指摘する。