1月10日、米国労働省はギグワーカーやフリーランスの扱いに関するルールを発表した。働き方が多様化する中で、最低賃金をはじめ労働者の権利や保護のガイドラインとなる。

米国におけるギグワーカーへの対応

Uberなどのシェアリングエコノミーが普及するにつれ、運転や配達など単発の仕事を請け負うギグワーカーという言葉を見かけるようになった。日本では、Uber Eatsなど食事配達を行う人といえばわかりやすいかもしれない。正社員ではないので、賃金はもちろん、労災の時はどうするのかといった問題が指摘されていた。

日本より早くシェアリングエコノミー、ギグエコノミーが発達した米国では、トランプ政権時にギグワーカーを独立請負業者としてみなすことが容易になる規則が成立した。しかし、バイデン政権はこれを廃止する方向性を示す。

実際、2022年10月、ギグワーカーが企業に経済的に依存している場合は、独立請負業者ではなく従業員とみなすことを義務付ける法案が出された。

これに基づいた最終規則が1月10日に発表された。これによると「従業員を独立請負業者に誤って分類すること、労働者の最低賃金、時間外手当、そのほかの保護が否定される可能性がある。最終規則は、従業員が独立請負業者として誤分類されるリスクを低減する一方で、個人で事業を営む個人と関わる企業に対して一貫したアプローチを提供する」と米労働省は記している。

法律事務所Ballard Spahrの雇用弁護士であるDenise Keyser氏は「トランプ政権下でのルールは、独立請負業者よりのものだった。雇用主が労働条件を管理し、労働者が利益や損失を出す機会がどのぐらいあるのかに主眼を置いていた。これに対し、最新の法は経済関係全体を考慮するものになる」と解説。

Uber、Lyftなどの株価にも影響

ギグワーカーを独立した請負業者であると証明するためには、満たさなければならない項目がたくさんあるという。例えば「労働者は意味のある形で交渉したり、自分の価格を設定できるのか」などがあるというが、多くの場合で交渉や自身での価格設定ができないのが現状だ。

National Employment Law ProjectのSally Dworak-Fisher氏は「ギグエコノミー企業は、自社の運転手(ギグワーカー)が雇用のメリットをフルで受ける資格がないことを説明することが難しくなる」と述べている。

そのため法案は、産業界の反対を受けた。Reutersによると、法案が提出された際にはUber、Lyftなどギグエコノミーモデルの代表的な企業の株価は10%程度下がったという。

米商工会議所で副会長を務めるMarc Freedman氏は、個人が望むときに望むスタイルで働くという柔軟性を脅かすとし「このような規則により、これまでのようにギグワーカーを使おうと思わない企業も出てくるだろう」と予想している。

米国では、過去1年にフリーランスの仕事をした経験があるという人が労働者の40%近くに及んでいるという。最終規則は3月11日に施行に入る予定だ。Marketplaceの記事「New government rule restricts who can be considered an independent contractor」Reutersなどで報じられている。