オンラインライフの力となり守るクラウド企業のAkamai Technologiesは1月15日、クラウドとセキュリティにおけるトレンド予測を発表した。

クラウドについてのトレンド予測

マルチクラウドとハイブリッドクラウドの普及によって分散アーキテクチャが実現

企業や組織はマルチクラウド/ハイブリッドクラウド戦略の領域に足を踏み入れはじめ、さまざまなクラウドプロバイダーの優れたサービスをビジネスニーズに合わせてカスタマイズし、戦略的に取り込んでいる。

同社の予測では、この傾向は2024年も続くと見られ、組織はクラウド支出に注目する一方で、アプリケーションのパフォーマンスと信頼性を高める取り組みに着手していくという。

このアプローチが成熟するにつれて、コストの最適化に加え、分散アーキテクチャの潜在能力を最大限に引き出す技術的および運用上のアジリティの獲得も可能になっていく見込みだ。

コンピューティングパフォーマンスに対して高まる要求

現代の消費者は、非常にスムーズで応答性に優れたアプリケーションの操作感を期待し、時には強く要求しており、この点で後れを取ると、不満やブランドの信頼低下、売上減につながりかねない状況となっている。

同社はこの課題が2024年により顕著になる可能性があるとの見解を示しており、その理由としては、事業者はデバイス間の相互接続の急増に対応しなければならず、満足のいくユーザー体験を提供するためには分散システム間でのリアルタイムのデータ交換が必要で、マシン間には信頼性と効率性に優れた通信が不可欠になるからという内容を挙げている。

セキュリティについてのトレンド予測

2024年にAIを利用するランサムウェアが出現すると予測

ランサムウェア攻撃において、攻撃者はFraudGPTやWormGPTなどのプログラムを通じて生成AIを攻撃に悪用している。

2024年は、「標的の優先順位付けや防御の回避といった困難なタスクを自動化し、ランサムウェア用の新たな武器を開発する」「最適化された暗号化アルゴリズムにより、ランサムウェアの暗号化を強化し、復号やリバースエンジニアリングへの抵抗力を高める」といった戦術がますます使用され、サイバー犯罪者と企業のどちらがより決定的な行動を取れるかが問われると予測される。

サイバーセキュリティが企業の戦略的優先事項となり、IT部門だけが責任を負うものではなくなる

同社の調査では、サイバーセキュリティは、事後対応型からより積極的なアプローチへと進化している。企業がマルチクラウドプラットフォームやクラウドネイティブアプリケーションの導入を拡大するのに伴い、APIのアタックサーフェスも拡大し、悪用されやすくなる。

特に公共部門機関は、個人情報保護の緊急性を強く認識しており、データ漏えいを最小限に抑えるためにゼロトラスト・アーキテクチャの導入が増えるとの見込みだ。