成層圏通信プラットフォーム(High Altitude Platform Station:HAPS)向け周波数帯に関する国際標準化活動を行っているソフトバンクは12月28日、2023年11月20日から12月15日までアラブ首長国連邦のドバイで開催されたITU-Rの2023年世界無線通信会議(WRC-23)において、このたび700~900MHz帯、1.7GHz帯および2.5GHz帯の追加が正式に決定したことを発表した。この決定により、各国・地域でHAPSによるモバイルブロードバンド通信を導入する際に、周波数帯の柔軟な選択が可能となり、既存のスマートフォン(スマホ)などでの利用が可能になった。
HAPSの携帯電話基地局向け周波数帯の拡大へ
ソフトバンクは、国際電気通信連合の無線通信部門(ITU-R)の2019年世界無線通信会議(WRC-19)において、WRC-23の議題として、HAPSの携帯電話基地局向け周波数帯の拡大を目指した提案が採択されて以来、同提案の実現を目指し、ITU-Rやアジア・太平洋電気通信共同体(APT)における議論を主導してきた。
この過程においては、ITU-Rにおける拡張候補帯域(700~900MHz帯、1.7GHz帯および2.5GHz帯)に関する技術的研究や無線通信規則の改定案の検討に関する議論や、APTからWRC-23に提案する無線通信規則の改定案の取りまとめなどに日本を代表して積極的に参加し、今回のWRC-23の決定に大きくつながったとしている。
従来、HAPSを携帯電話の基地局として利用する場合、ITU-Rが規定する無線通信規則においては、2GHz帯の携帯電話向け周波数の電波の利用が国際的に認められている一方、その他のグローバルバンドである700~900MHz帯、1.7GHz帯および2.5GHz帯などの利用は認められていなかった。
HAPSの携帯電話基地局とユーザ間で通信可能に
今回の決定により、将来的にはより多くの国・地域において、HAPSの携帯電話基地局とユーザ間で、既存のスマホを使って通信を直接行うことが可能になる。特に地上の基地局ではカバーが難しい上空や離島の他、山岳地帯や発展途上国など、通信環境が整っていない場所への安定した通信ネットワークの提供や、大規模な災害によって地上基地局の通信サービスが中断した場合の、早急な通信エリアの復旧を実現できるとしている。