1970年代に「OA(オフィス・オートメーション)」を提唱したリコー。しかし、事務機器や複合機の製造販売を主軸の事業としていたのも今は昔。現在はOAメーカーからデジタルサービスを提供する企業へと、経営資源を集中しながら変革を図っている。同社はこのほど、デジタルサービスの進捗と今後の展望を記者向けに語った。

リコーはOAからデジタルサービスへ

リコーが目指すのはグローバル規模のワークプレイスサービスプロバイダ。コロナ禍で変化したオフィスのあり方を受けて、従来のオフィスにとどまらずにワークプレイス全体を支援するデジタルサービスを展開する。2022年度時点でリコーのデジタルサービスの売上比率は44%を占めているが、これを2025年度までに60%以上へと増加させるという。

  • リコーはデジタルサービスの会社へ変革を図る

    リコーはデジタルサービスの会社へ変革を図る

そのための具体的な取り組みは、オフィスプリンティング事業の持続的な体質強化と、デジタルサービス事業の収益成長の2つだ。これまでの経営基盤を支えてきたオフィスプリンティング事業も引き続き強化を図りながら、新たな価値をもたらすサービスを展開してストック型の収益を積み上げるという。これにより、持続的な収益基盤を強化する。

デジタルサービスの展開において特に注力するのが、ITサービス、BPA(Business Process Automation)、コミュニケーションサービスだ。ハイブリッドワークやリモートワークなど働き方を問わない快適なワークプレイスを支えるとともに、ITインフラ基盤の構築と運用も支援していくという。

  • リコーが目指す姿

    リコーが目指す姿

「"はたらく"に歓びを」を実現するリコーの今後の戦略

リコーは創業100年を迎える2036年を前に、使命と目指す姿として「"はたらく"に歓びを」を掲げている。ワークプレイスで「はたらく歓び」を生み出すために、同社は3M(面倒・マンネリ・ミスできない)をはじめとする相対的に価値が低い業務をデジタルサービスで代替していくようだ。そこで生まれた時間を使って、人間が人間らしい創造性の高い仕事に従事できるようになる。

はたらく歓びを生み出す源泉となるのは、同社のクラウド基盤である「RSI(Ricoh Smart Integration)」プラットフォーム、PFUを加えるなど拡充を図るユニークなエッジデバイス、そして、セキュアな環境も含めて展開するITサービスだ。

  • デジタルサービスを成長させる要素

    デジタルサービスを成長させる要素

同社はこれまで、複合機やスキャナなどアナログなデータをデジタルデータ化する仕組みを整えてきた。さらに、クラウド型のCSP(Contents Service Platform)である「DocuWare」によって業務プロセスをデジタル化する支援も行っている。今後はそれらのデータを活用して、顧客の業務にさらに新たな価値を提供するリカーリングビジネスの創出を生み出す方針だ。

  • ビジネスプロセスを支援する新成長領域

    ビジネスプロセスを支援する新成長領域

加えて、場所や時間にとらわれないコミュニケーションを生み出すために、ワークプレイスでの新たな付加価値創造にも注力する。Ricoh Europeが開発したRICOH Spacesは、オフィスの会議室やデスクなどのスペースを予約できるアプリケーション。各スペースの利用状況の可視化も可能。Ricoh USAが買収したCeneroは、マネージドAVサービスを手掛ける。今後はこれらの各サービスをグローバル規模でRSIプラットフォームに統合していく予定だという。

  • コミュニケーションを支えるデジタルサービス

    コミュニケーションを支えるデジタルサービス