京都大学、デロイトトーマツグループ(デロイトトーマツ)と渥美坂井法律事務所・外国法共同事業プロトタイプ政策研究所の3者は11月30日、大規模言語モデル(LLM)を活用した対話型AI(人工知能)の研究開発を共同で開始すると発表した。

具体的には、特定の人物の著書や思考法を学習させ、その人物のように振舞うデジタルヒューマンの教育、OJT、法律相談などの現場での活用とリスクの研究を行う。

開発にあたっては京都大学大学院法学研究科の稲谷教授の授業の講義録や論文などの知識情報を収集し、LLMにその知識を反映させることで、稲谷教授本人のように振舞う対話型AIであるデジタルヒューマン「デジタルINATANI」の実現を目指す。

同研究開発において、京都大学大学院は、論文や講義録といったデータ、実験の場の提供やプロジェクト全般の運営・各種調整を実施し、デロイトトーマツは対話型AIモデルの実装、性能評価、リスクチェーンモデルを用いた教育の現場における対話型AI利活用に伴うリスクおよび対策の検討を行う。また、渥美坂井法律事務所は、法律面での観点からサポートや、AIモデルの質的評価を行うとしている。

開発した対話型AIについては京都大学法学部および大学院法学研究科の学生の協力のもと、その有効性を検証する。まず開発した対話型AIを用いて法学研究科の学生と対話を実施し、対話相手をランダムに稲谷教授本人と対話型AIに切り替え、学生がどちらからの発話であると認識するかについてテストを実施する。

さらに対話相手の各発言に対して「信頼できる内容かどうか」、「自身の勉強につながる発言かどうか」を評価することでモデルの有効性を検証し性能の改善を行うとのこと。

また、稲谷教授以外の専門家の再現についても研究し、学生や若手弁護士を含めた法務分野等の専門家が対話型AIを信頼して適切に利用するためのリスク対策についても検討し、企業、法律事務所の法務・リスク管理分野の業務への応用実験も実施する予定だ。