サニーサイドアップグループのブランドテック事業を担うサニーサイドエックスは、世界的に急成長しているブランドテック領域のニーズ拡大に合わせ、3DCGのバーチャル空間映像と人物などの実写撮影をリアルタイムで合成する新ブランドコミュニケーション・スタジオ「XR STUDIO」を9月1日に開設した。

それに伴い、サニーサイドアップグループ本社のオフィス内に新設した「XR STUDIO」に赴き、実際にリアルタイム・レンダリングXRスタジオを体験させていただいた。

本稿では、XR STUDIOの概要を紹介するとともに、筆者の体験をレポートする。

  • ,今回話を聞いたサニーサイドエックス 代表取締役社長の西谷大蔵氏とサニーサイドアップグループブランドコミュニケーション部 広報の中野萌氏

    今回話を聞いたサニーサイドエックス 代表取締役社長の西谷大蔵氏とサニーサイドアップグループブランドコミュニケーション部 広報の中野萌氏

PR会社のオフィス内にスタジオがあることに意味がある

XR STUDIOは、サニーサイドアップグループ本社オフィス内に誕生した最新・最先端かつ常設のリアルタイムバーチャル プロダクションだ。

トラッキング・センサー(装着するVRデバイスの内側部分に搭載された、装着者の視線の動きや焦点を捉え、映像にその動きを反映するためのセンサー)と連動した複数台の専用カメラとスタジオ照明が設置されるなど、ハイクオリティなXR技術が導入されている。この技術によって、リアルタイムで背景の合成やスライドの投影などを行うことができる。 インフルエンサーをはじめとする個人の簡易的な撮影からTV番組クオリティの本格的な撮影まで、幅広い用途で利用することができるという。

  • ,スタジオ内には最新設備が揃っている

    スタジオ内には最新設備が揃っている

「特に活用が進むのではないかと考えているのは『企業』での利用です。企業主催のイベントやビジネスセミナー、その他の各種カンファレンスといった対外向けの使用ももちろんですが、対内向けの社員総会やインナーコミュニケーション(インナーPR)目的も含めまして、広くご活用いただけます」(西谷氏)

このスタジオの特徴的なポイントは、PR会社としてブランドコミュニケーションを手掛けるサニーサイドアップグループのオフィス内にスタジオが設置されているという点だ。本来、企業からの依頼であれば制作会社などを通して撮影を進めるケースが多いが、同社が企画から撮影まで一気通貫で行うことによって、ブランドにとって利便性の高いトータルコミュニケーションを提供することができるそうだ。

  • ,スタジオ内のイメージ

    スタジオ内のイメージ

ニュース・スタジオ、森に、お城 個性溢れる空間を体験

ここまでサニーサイドエックスのXR STUDIOの概要を紹介してきたが、ここからは筆者の実際の体験をレポートしていく。

まずスタジオ内に入ると、目の前には壁一面がグリーンバックに覆われた空間が広がる。そしてその前には、大きなモニターが2枚と、さまざまなカメラが置かれている。

  • ,スタジオ内は一面グリーンバック

    スタジオ内は一面グリーンバック

このグリーンバックとカメラによって、3DCGのバーチャル空間映像と人物などの実写撮影をリアルタイムで合成することができるのだそうだ。

私が初めに体験させていただいたのは「セミナー会場」としても使える、ニュース・スタジオをイメージしたバーチャル空間映像だ。正面に資料投影用の大きなモニターと、後ろに東京の街並みが広がっているのが印象的な空間である。

  • ,ニュース・スタジオをイメージしたバーチャル空間映像と筆者

    ニュース・スタジオをイメージしたバーチャル空間映像と筆者

この東京の街並みやモニターに大きく映し出された会社名は、その時々によって変更することが可能で、海外の街並みや夜の景色に変更したり、会見用の資料をモニターに映したりすることができる。また、会場の雰囲気も依頼者の要望によって変えることができるそうで、会社のイメージカラーなどにすることも可能だ。

このニュース・スタジオ以外にもXR STUDIOには、個性的なバーチャル空間映像が用意されている。筆者が体験しただけでも、森の中や西部劇の舞台、南極の氷山の上など、さまざまなバリエーションが存在した。

中でも筆者が1番お気に入りだったのが「お城」をイメージした空間だ。石で造られた洋風なお城で、長く続く石段や精巧な石像が飾られているところがどこか怪しさを感じさせ、まるで魔法使いが暮らしていそうな雰囲気だ。

「この空間は社員向けのイベントなどでの利用が最適ではないかと思っています。普段の会議室やイベントスペースでは感じられない非日常感を取り入れることができ、社員の方にも楽しんでいただけるイベントが作れるのではないかと考えています」(西谷氏)

  • ,お城をイメージしたバーチャル空間映像と筆者

    お城をイメージしたバーチャル空間映像と筆者

最後に西谷氏にスタジオにかける想いと今後の展望を聞いた。

「エンタメ業界からビジネス業界まで、人々の生活に急速に浸透してきたXRとPR起点の発想との掛け算が生みだす可能性は無限大です。『たのしいさわぎをおこす』という、サニーサイドアップグループがこれまでお客さまと大切に、長い時間をかけて育んできた価値観に、最新デジタルテクノロジーという定量的側面を掛け合わせることで生まれる化学反応こそがこのスタジオだと思っています。まさにブランドコミュニケーションの可能性を広げる、クリエイティブ&ブランドテックを掛け合わせた存在になってくれると期待しています」(西谷氏)