カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ企業として、Tポイントのデータをもとにしたデータベース・マーケティング事業を手がけるCCCMKホールディングス。
同社は分析プラットフォーム「Tableau」を導入して、データを活用する環境を整備している。その一環として、ビジネスユーザーを対象にTableauの教育を実施し、パワーユーザー40名が誕生した。
そして、2024年春には、同社が提供するTポイントとSMBCグループ共通ポイント「Vポイント」の統合が予定されており、同社におけるデータ活用の幅はますます広がることが予想される。
そこで、CCCMKホールディングス 営業企画・推進 ビジネスデータアナリシス部ビジネスデータアナリシス第1グループ データアナリスト 川浦健斗氏、ビジネスデータアナリシス第3グループ 第1チーム データアナリスト 前原菜穂氏の両名に、同社におけるデータ活用を推進する環境整備について聞いた。
第2フェーズとして、40人のパワーユーザーを育成
CCCMKホールディングスは、2017年にTableauを導入した。当時、Excelを利用してデータの可視化・分析を行っていたが、時間がかかり、ニーズの多様化に対応できないなどの課題を抱えていたことから、その解決策としてTableauに白羽の矢が立った。
同社は導入から3年かけて、Tableauの利用の定着を図ったのち、フェーズ2として、Tableauを活用できるパワーユーザーの育成に取り組み始めた。
このミッションを進めているのが川浦氏と前原氏だ。両氏はデータ活用を推進しているデータアナリシス部に所属している、データアナリシストだ。ちなみに、同社の全社員は600人弱だが、約100人がデータアナリシス部に属しているそうだ。
全社員からデータアナリシス部を除いた従業員を対象に、Tableauの教育に関する説明会を開催したところ200名が参加し、そのうち、40名が育成プログラムに参加した。
育成プログラムに参加したビジネスユーザーの動機は、「業務を効率化したい」「データを活用して新しいことをやりたい」「顧客にスピーディーにデータを活用した提案をしたい」といったものだったという。
データを活用したい場合、データアナリシス部に依頼してレポートを出してもらう仕組みだったため、どうしても時間がかかってしまう。また、「お客様から営業、営業からデータアナリシス部に説明を行う中で、話のポイントにずれが生じてしまいます。現場の営業がお客様に最適な提案ができるように、Tableauのスキルをつけてもらうことにしました」と川浦氏は話す。
ユーザーに親切なレポート作成に役立つ教育を
さまざまな企業がデータを扱える人材の育成に取り組んでいるが、簡単ではないと聞く。CCCMKホールディングスでは、ユーザーが意欲的にTableauの学習に取り組めるよう、どのような工夫を行ったのだろうか。
前原氏は、「ユーザーがテーブルを作れるがゆえに、『Tableauにどのような型のデータを読ませたらいいかがわからない』という問い合わせが最も多かったです。そこで、データの持ち方やテーブルをきれいにすることを学んでもらうために、かなり工夫しました」と説明した。
また、「レポートを作っただけで満足しないよう、細かいですが ツールヒントを作りこむことも叩き込みました」と前原氏。Tableauでは簡単にレポートが作れてしまうが、作りこまないとユーザーにとって親切なデータにならないという。だからこそ、「ユーザーに親切な設計を学んでもらえるコンテンツにしました」と、同氏は話す。
なお、企業・組織において、新しいテクノロジーを導入しようとすると、反対勢力に合うことも少なくない。同社もそうだったようで、川浦氏は「当初、Excel十分じゃないという方もいて、導入の大きな壁でした。Tableauの有用性を説くことで、利用してもらえる機会が増えてきました」と語る。
社外でもTableauを活用して顧客を支援
CCCMKホールディングスにおいて、Tableauの活用シーンは社内にとどまらない。データアナリシス部は、Tポイントのアライアンスパートナーを含めたさまざまな企業のデータ活用の支援も行っており、そこでもTableauは活躍している。
前原氏は大手スーパーのデータ活用の支援を行っているが、Tableauでレポートを提出するようになったことで、顧客企業でもTableauの熱が高まっていると教えてくれた。「ExcelからTableauに変更したことで、データを探索できるようになり、ダッシュボードの指標に対するリクエストが来るようになりました」と同氏。
川浦氏はアライアンスに加盟していない企業を担当しているが、Tableauで納品したところ、顧客の担当者がTableauを使って社長に話したという企業もあったという。
顧客企業においてTableauがすんなりと受け入れられる背景について、川浦氏は次のように説明した。
「ビジュアライゼーションにすぐれているので、パワーユーザーでなくてもわかりやすいです。お客様よりリクエストをいただいており、データを理解してもらっていると受け止めています。ExcelをTableauのダッシュボードに置き換えることが、われわれの提案の一つであり、着々と実績を作っています。その結果、社内にも循環が徐々に広がっている。それが、今のフェーズです」
TポイントとVポイントの統合にもTableauを活用
さて前述したように、来年は同社にとってビッグイベントとなるVポイントの誕生が待っている。Vポイントの推進において、Tableauはどのような役割を果たすのだろうか。
前原氏は、「SMBCグループと共同でVポイントを推進していくにあたり、現状は、TポイントとVポイントをどのように活用できるかについて検討しています」と話す。
SMBCグループもTableauを利用しているため、Tableauを共通言語として、取り組みを進めていくことができる。
「当社とSMBCグループ様のデータを活用することで、新しい提案を行って、人々の生活が豊かになるように、取り組みを進めています。これからデータを活用していく中で課題が出てくると思いますが、適切なガバナンスの中で早く、正確に、安全に活用していくための一つの手段としてTableauが欠かせないと考えています」(前原氏)
今後の展望について、川浦氏は「伴走型のサポート」を挙げる。「今期から、個人の方につくことで、その方のやりたいことを一緒に実現するという取り組みを行っています」と同氏。
営業部門から依頼を受けることを想定して、Salesforceのデータの分析にも着手しているそうだ。
川浦氏、前原氏は共に「Tableauを共通言語として、誰もがデータを活用して判断が行えるようにしていきたいです。これは社内だけの話ではなく、お客様も課題解決に向けて、データを利活用してもらうよう、サポートしていきたいです」と語っていた。