カゴメと日本電気(以下、NEC)が設立した、AIを活用して加工用トマトの営農支援を行うDXAS Agricultural Technology LDA(以下、DXAS)は11月8日、NECの農業ICTプラットフォーム「CropScope」の少量多頻度灌漑に対応したAI営農アドバイスと自動灌漑制御機能を組み合わせたサービスを、北イタリアとポルトガルのトマト圃場で利用開始したことを明らかにした。

北イタリアで4月から8月に実証試験を実施した結果、導入していない区画と比較して、約19%少ない灌漑量で収量を約23%増加することを確認したとのことだ。また、ポルトガルの大規模トマト圃場にも同時期に商用利用を開始し、熟練指導者の技術も組み合わせることで、2圃場約21ヘクタールで1ヘクタール当たり148tの収量を得ているという。

  • 北イタリア試験圃場における取り組みの概要と結果

    北イタリア試験圃場における取り組みの概要と結果

  • ポルトガルDXAS商用大規模圃場における取り組みの概要と結果

    ポルトガルDXAS商用大規模圃場における取り組みの概要と結果

昨今は農業資材やエネルギー価格の高騰に加えて、気候変動が農作物の栽培に打撃を与えており、水不足対策が課題となっている。その一方で少量多頻度灌漑は、最適な土壌水分量を保ちながら水の消費量を削減する栽培手法として注目されている。この手法は変動する土壌水分量を最適に保ちながらの管理が求められる。

3社は今後について、再現性を確認しながら導入地域を拡大し、世界各地で問題となっている営農現場における水不足に対応することで、環境に優しく収益性の高い営農を促進して持続可能な農業に貢献するとしている。