浜松ホトニクスは、同社独自のMEMS技術や光半導体素子の製造技術を応用した、紫外光(UV)に高い感度を持つ小型で低価格の「ミニ分光器マイクロシリーズ C16767MA」を開発した。
同製品は、UVに対応した指先サイズの分光器。UVを複数の波長に分けそれぞれの光の強さを同時に測定できる大型の分光器を組み込んだ水質検査装置は、複数種類の物質を同時に検出することができるものの、高価なことに加え、サイズが大きく据え置き型が主流であり、試料を分析室に持ち込む必要があったという。そのため、安価かつ測定現場に多く設置が可能であり、複数の有機汚染物質を検出することができる水質検査装置の実用化が求められており、その実現のための小型かつ低価格のUV分光器も同様に実用化が求められていた。実現のための小型かつ低価格のUV分光器も同様に求められていた。
そこで同社は今回、従来のMEMS技術に加え、イメージセンサの受光部の構造を工夫することでUV耐性の向上ならびに分光器を構成する回折格子の形状をUVに最適化、加えてイメージセンサ上にSiN(窒化シリコン)の薄膜を形成することで、UVの分光時に生じる迷光のイメージセンサへの入射を抑えることができ、高性能かつ小型で低価格なミニ分光器マイクロシリーズを開発することに成功したとする。なお、同製品は190~440nmの波長の光に感度を持ち、その範囲の光を複数の波長に分け、それぞれの光の強さを同時に測定することができるという。
同社では、同製品を拡販することにより安全な水の確保や気候変動への対策に貢献することができるようになるとしているほか、有害大気汚染物質の分析やUV-LEDの性能評価、半導体プロセスのモニタリングなどへの応用も期待されるとし、今後は、赤外光に高い感度を持つ小型・低価格のミニ分光器マイクロシリーズの開発を進めていく予定だとしている。