TorrentFreakは10月31日(現地時間)、「Russia Blocks 167 VPNs, Steps Up OpenVPN & WireGuard Disruption * TorrentFreak」において、ロシアが167のVPN(Virtual Private Network:仮想プライベートネットワーク)サービスと200以上のメールサービスをブロックしていると伝えた。ロシアの「インターネット主権」プロジェクトの中心人物である元FSO職員のSergei Khutortsev氏がこの件について認めたという。

ロシアは2022年2月のウクライナ侵攻を機に、情報統制のためにX(旧Twitter)やFacebookなどさまざまな国外のオンラインサービスへのアクセスを規制した。こうした動きに対し、これら国外のサービスを利用していたロシア国民は、VPNを利用することで規制の回避を試みるようになった。そのため、ロシアではVPNの利用者が急増する事態となっていた。

このような状況を危惧したロシア政府はVPNの規制を強化し、通信のブロックを試みていたとされる。また、2023年3月下旬ごろからは、VPNの使用は危険と主張する反VPNキャンペーンを展開していたという(参考:「Russia Launches Anti-VPN Scare Campaign to Support Its VPN Blocking * TorrentFreak」)。

TorrentFreakによると、ロシア政府は法律の規制に準拠していないVPNサービスを排除するため、ドメインとIPアドレスのブロックに加えて、特定のプロトコルをブロックする技術を開発していたという。その結果、2023年4月以降、人気のVPNであるOpenVPNとWireGuardが一部のISPによってブロックされていると報告が出始めたとされる。その後、これらVPNは断続的にブロックされるようになり、最終的に9月下旬にプロトコルのブロックが再開されたという。

ロシアではSNSを含む一部のインターネットの利用について、ユーザーの身元確認を義務付ける法改正が行われている。また、X(旧Twitter)やFacebookなどの禁止されたSNSへアクセスする手段についてアドバイスすることも禁止され処罰の対象とされている。今後、ロシアでは市民のプライバシーや表現の自由、報道の自由がさらに制限されていくとみられている。