10月28日から11月5日まで東京ビッグサイトでは、「Japan Mobility Show 2023」が開催されている。かつての「東京モーターショー」からリニューアルし、その裾野を“モビリティ”へと広げた同展示会の「Startup Future Factory」内で、ネオモビは、真のバリアフリーを実現することを目指した次世代スマートモビリティ「RODEM」について、試乗体験を通して紹介している。

  • ネオモビはJapan Mobility Showに出展し、次世代スマートモビリティ「RODEM」を紹介している

    ネオモビはJapan Mobility Showに出展し、次世代スマートモビリティ「RODEM」を紹介している(出所:ネオモビ)

前向きに乗り込む新しい形のモビリティ「RODEM」

ロボットメーカーのテムザックが開発し、同社を含む3つの京都企業による合弁会社のネオモビがシェアリングサービスを提供するRODEMは、後ろから乗り込む設計が特徴的なスマートモビリティ。元々は電動車いすとして開発された同製品だったが、現在はどんな人でも境界なく移動を楽しむためのモビリティとして、観光地などでの利用拡大に向けて認知向上に取り組んでいるという。

  • ネオモビブースで展示されているRODEM

    ネオモビブースで展示されているRODEM

後ろから乗り込む形の採用に至った背景として、ネオモビの担当者は、福祉用途向けに開発していたころに行われたヒアリングで見えた、乗り込み方の課題があるという。高齢者や障害を抱える車いす利用者の場合、従来のような後ろ向きに座り込む車いすにベッドから乗り込む際には、身体を回転させる必要が生じる。しかし、身体の向きを変える動作は負担が大きく、改善に対する要求が寄せられたとのことだ。

そこで同社は、車体の後ろから乗り込み、椅子にまたがって前方に膝を付ける形での開発に着手。この設計を採用することで、ベッドの横まで寄せたRODEMに前向きで座り、そのまま移動を開始できるようになったとする。

  • 後ろから乗り込めるためベッドを介した乗降もスムーズだという

    後ろから乗り込めるためベッドを介した乗降もスムーズだという

またRODEMの操縦は、手元のコントローラで行う。担当者は動作面での特徴として「小回りが利くこと」を挙げ、ほぼその場での回転も可能とする。また速度の調整が可能で、最高で時速約6km程度まで加速するとのことだ。

  • RODEMの操縦や速度調整はシンプルな構成のコントローラで行う

    RODEMの操縦や速度調整はシンプルな構成のコントローラで行う

また前出の担当者は、同製品が持つ従来の電動車いすに対する強みとして、目線の高さを挙げた。座面の高さを変えることが可能であり、乗り込む際には低くしてベッドに合わせた高さにできる一方、街中を走行する際には目線を高くすることで、物陰やチケットカウンターなどにおいて低さのために死角に入ることも防げるという。

自治体とも協力し京都観光にも活用

RODEMを開発したテムザックは、同製品をシティモビリティとして幅広い用途に普及させていきたいという想いから、新規事業開発に強みを持つ80&Companyと、マーケティングを得意とするFelixiaと協力し、ネオモビを設立。以来、まったく新しい移動体験を実現するため、パーソナルモビリティのシェアリングサービスを開発・提供しているとする。

現時点での課題としては、大量生産ができないため機体価格が高いことがあるとのこと。そのため、同社が拠点を置く京都の自治体と共同でRODEMを用いた観光パッケージを設計したり、都内での試乗体験会を開催したりと、導入のきっかけになるさまざまな取り組みを実施している。

担当者は、「今回のJapan Mobility Showでも移動手段として用いられるようにしていきたい」と、今後の目標を語った。