シスコシステムズ(シスコ)は9月13日、「Cisco Networking Cloud」に関するメディアラウンドテーブルを開催し、今後のネットワーク事業の方針を示した。

Cisco Networking Cloudは、2023年6月に米ラスベガスで開催した年次イベント「Cisco Live! 2023」で発表したビジョン。同社のさまざまなネットワーク製品を統合的にシンプルに運用できるようにしていく考え方のことで、具体的なサービス名や製品名ではない。

同社は今後、ネットワークスイッチ製品群の「Cisco Catalyst」や、ネットワーク機器を一元的に管理するクラウド型ソリューション「Meraki」、ネットワーク可視化ソリューション「ThousandEyes」など、シスコのネットワーク製品を一元的に管理できるようにしていく。

「ユーザーが求めているのは運用のシンプルさ。プラットフォームの数を減らしてシンプルにしていき、最終的には一つのプラットフォームに集約する。そして、オンプレミスの環境でのみ利用したい、ハイブリッド環境で利用したいといった要望にも応えていく」と、シスコ 執行役員 エンタープライズネットワーキング事業担当の眞﨑浩一氏は今後の方針を示した。

  • シスコシステムズ 執行役員 エンタープライズネットワーキング事業担当の眞﨑浩一氏

    シスコシステムズ 執行役員 エンタープライズネットワーキング事業担当の眞﨑浩一氏

眞﨑氏によると、ネットワークを取り巻く環境は年々複雑化しているという。「コロナ禍によるハイブリッドワークの広がりやクラウドの浸透により、ネットワークアクセスの運用に頭を痛めている企業が多い。社員1万人の会社であれば、情報システム部門は1万人を敵に回して仕事をしているようなもの」と、眞﨑氏はネットワークを取り巻く現状を指摘。

同社の調査結果からもこうした現状は浮き彫りなっている。約4割の企業が「引き続きハイブリッドやリモートで働く従業員」を抱えており、また、ワークロードの4割以上がマルチクラウドに分散している。「情報システム部門が感じている最大の課題は、クラウドに分散したアプリへの安全なアクセスだ」(眞﨑氏)

  • 企業ネットワークに起きている異変

    企業ネットワークに起きている異変

そこで同社は、今後2~5年をかけて、すべてのネットワークドメインを1つのユーザーインタフェース(UI)で管理できる環境を構築していく。UXデザインを統合するだけでなく、セキュリティとネットワークドメイン間のポリシーを共通化し、AIおよび機械学習機能をシームレスに利用できる環境も実現していく。「一つのクラウド上で利用しているかのように、ユーザーはすべてのソリューションを管理できる」(眞﨑氏)

  • すべてのネットワークドメインを1つのユーザーインターフェースで管理していく

    すべてのネットワークドメインを1つのユーザーインタフェースで管理していく

こうした統合の動きはすでに進んでいる。CatalystのスイッチをMerakiからクラウドモニタリングできるようにしたり、「Cisco DNA Center」の機能をMerakiに拡張したり、MerakiのダッシュボードからThousandEyesを意識することなく複数のアプリケーションをモニタリングできるようにしたりしている。「日本の顧客にも関わってもらいないがら、製品開発を進行している」(眞﨑氏)

また運用の統合だけでなく、ブランド変更も行っていくと眞﨑氏は説明。2024年度以降、製品名や関連するドキュメントは順次切り替える予定だ。例えば、Cisco DNA CenterはCatalyst Centerに、DNAソフトウェアライセンスはCatalystソフトウェアライセンスに、Viptela SD-WANはCatalyst SD-WANに変更するとのことだ。

  • Cisco Catalyst ブランドの拡大

    Cisco Catalyst ブランドの拡大